第26話 (彼女の)家族との食事

「美味しい?」

「はい。とても美味しいです。」

「今日は突然だったからこんなのしか作ってないけど、また今度お祝いのパーティしましょうね。」

「お、お構いなく...」

今、俺は陽華の家でご飯を食べている。陽華の御家族とだ。確か、陽華の部屋で勉強してたら寝落ちして、陽華のお姉さんが帰ってきて、帰ろうとしたら陽華のご両親が帰ってきた。そこからあいさつをして、今に至る。

うん!さっぱりわからん!

俺が食べているのは舞華さんが作ってくれたオムライスだ。卵がふわふわでとても美味しい。しっかりケチャップで名前も書いてくれている。『陽華の彼氏』という文字がなければなおいい。

席の順番としては陽一郎さんと舞華さんが隣同士で並び、その向かいに陽華と愛華さんが並んで座り、陽華と陽一郎さんの間の誕生日席に俺が座っている。わざわざこの並びにしなくてもいいじゃないか。

「陽華〜、私さ、ずっと気になってることがあるんだけどいい?」

「何?」

「陽華と明くんってなんで付き合ったの?」

「「ゴホッゴホッ!」」

2人してむせた。愛華さんは何言ってんの!?

「なんでそんなこと聞くの!?」

「だって気になるじゃん。」

「あらあら〜、私も気になるわ〜。」

「お母さんまで!?」

女性っていつまで経っても恋バナというものが好きなんだな。

「私も気になるから聞かせてくれないか?」

...,.前言撤回。どうやら性別は関係ないみたいだ。

「なんでそんなに聞いてくるの〜?」

「だって陽華って男の子の話題とか全く出さないじゃん。」

「そうね〜。もしかしたら、男性に興味がないのかと思ったくらいだものね〜。」

「そんなに!?」

学校の陽華を思い出す。...うん、確かに男子は近づきにくいかもね。最近俺には距離がバグってるから忘れてたよ。

「で、なんで付き合ったのか教えてよ〜。」

「もう、全く。告白したのは私だよ。そもそも先輩は自分から告白する人じゃないしね。」

「まぁ!」

舞華さんと愛華さんがが目を輝かせている。

「あなた、陽華から告白したんですって!」

「成長を喜ぶべきなのか、男親として複雑だよ。」

「娘の成長を素直に喜びましょう!それに明くんなら心配ないでしょ?」

「それもそうだな。」

いいのかよ!とは声に出せないので心の中でつっこむ。

「なんでさっきから明くんは黙ってるの?」

「うぉ!」

いつの間にか愛華さんが目の前にいた。

「そんなに驚くことないのに〜。」

「いや、急に目の前に人が現れたら誰でも驚きますよ。あと黙ってるのは話に入りにくいからです。」

「でも2人に関する話だよ?」

「だからですよ。恥ずかしいんです。」

「あっ、照れてる〜。かわい〜!」

「はーい。お姉ちゃんは離れようね〜。」

「あの陽華が嫉妬してる!?羨ましい!」

「ほんとに黙ろっか?」

「はい。」

陽華は笑っているが目が笑ってない。

「こんなに賑やかな食事は久しぶりね〜。」

「あぁ、悪くないな。」

悪く......ないのか?

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