第24話 遭遇
俺の意識が薄らぎながらも聞こえたのは二人の女性の声だった。
「お姉ちゃん!なんでいるのよ!」
「いや〜友達が用事ができたから帰ってきたんだよ。」
「それはわかったからなんで私の部屋にいるのって聞いてるの!」
どうやら姉妹喧嘩の最中らしい。
「うーん。」
「先輩起きました!?」
薄らとした視界の中に可愛らしい顔があった。だんだん意識が覚醒していきその顔が自分の彼女である陽華のものであり、どうして膝枕してもらっているのかということを思い出してきた。
「あ、あぁ。」
「へぇ〜、君が陽華の彼氏くん?」
そこで初めてもう一人の気配に気づいた。顔は陽華に似ているけど少し大人っぽくて色気のあって、陽華を少しだけ成長させたような感じである。
「そうですけど、あなたは?」
まだ寝ぼけている脳を使ってそんな質問を絞り出した。
「私?私はね〜、陽華の姉の
......あね、姉!?
そこで自分がまだ寝転がっていることに気づいた。俺はおもむろに体を起こしベットの上で正座をして改めて挨拶した。
「初めまして。陽華さんとお付き合いさせていただいている本田明と言います。以後お見知りおきを。」
「わぁお。礼儀正しい子だね〜。」
何とかなった、のか?
「そういえば、今の時間は?」
「七時だよ。」
「やべっ!」
いつの間にかそんなに寝てたのか!?
「すまん!途中で起こしてくれても良かったのに!」
すると陽華が少し気まずげに
「あははー。実は私も寝てちゃってたんだ〜。」
「足は痛くなかったのか?」
「全然大丈夫だよ。むしろもっとやっててもよかったよ♪」
「そ、そうか...」
そんなやり取りをしていると
「私の前でイチャついてるねぇ。」
急に愛華さんが乱入してきて
「陽華は私の妹だよ〜。」
陽華を抱きしめた。
「お姉ちゃんやめてよ!先輩の前なのに!」
「いいじゃん!陽華は可愛いなぁ〜。」
陽華は離れようとしているが離れられない。そもそもそこまで嫌がってはいないように見える。こうして見るとただの仲良し姉妹に見える。実際にそうなのだろう。
「もう帰りますね。もう夜ですし。」
そう言うと
「ただいまー。」
「帰ったわよ〜。」
男性の声と女性の声が聞こえてきた。
「おや、見ない靴があるが?」
「誰かいるんじゃないかしら?」
「これってもしかして?」
「うん。お父さんとお母さんが帰ってきたね。」
「ヤバくない?」
冷や汗をかいていると
「陽華、誰かいるのか?」
僕の知らない男性が陽華の部屋に入ってきた。俺よりガタイがよく体が引き締まっている。その男性が俺に気づいて
「むっ。貴様は誰だ?」
「えっと、」
頭が真っ白になって何も言えないでいると
「この人は本田明先輩で私の彼氏です。」
と陽華が言った。
「......は?」
あっ、終わったかもしれん...
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