33:デート④~グルメ前編~(シエラ)
「さ~とりあえず、今日のやることは終わったし、あとは街の探索だな!」
私達は、カインさんのお店を出て護衛の騎士と合流、っていっても付かず離れずの距離なんだけどね。
「よし、まずは腹ごしらえだな!シエラ嬢、お腹減っただろ?」
「そうね、もうすぐお昼だし、何か食べたいわ。」
「う~んこの辺りだと、何があったかなぁ・・・」
アルバードはキョロキョロしながら考えてる。
私は、思っていたことを言ってみた。
「ね、どうせならご当地の名物が食べたいわ。」
「!そうだよな!それ賛成!てかさ、俺放浪してた時はそうしてのに、すっかり忘れてたわ。」
「なら、決まりね!何があるのかしら?」
「ん~近くにコーデルの港があるからな、ここバランディアも魚介類もお勧めだと思う。あと、確か人気のあるスィーツ店があったはずだ。」
「!!」
聞き捨てならないのが聞こえたわ。
「アルバード、スィーツの情報を詳しく!」
シエラは、女子らしく、スィーツには目がないぞ!
「あぁ前にだけど、一緒にパーティ組んでた女子から、誘われて行ったことがあるから。確か・・・一番人気はチーズケーキが有名だったかな?」
イラッ
・・・うん、わかってる。きっとアルバードは何もそこまで気にしての発言ではではないのはわかっているけど・・・
「えーと、それってその方とデートしたってこと?」
シエラは笑顔で質問をしていたが、まとっているオーラは極寒だった!
「あ・・・」
あら、気付いたみたいね。そこまで鈍感じゃなくて良かったわ。
「ち、違う!二人っきりとかじゃなくって、パーティメンバーで行っただけだから!人気店っていうから行ってみただけだって!」
アルバードみたいな大きな人が私みたいな小さい子相手に必死に弁解してる姿は・・・はたから見たらちょっと面白いわね。っと、いけないいけない。
「わかってるわよ。冗談よ。そりゃ仲間内とはご飯やカフェに行くくらいあるものね?」
私は今度は本当に、にっこり笑いながら言った。
「こ、怖かったんだけど。ま、まぁわかってくれたならいいや。じゃ、ご飯はご当地海鮮物で、デザートにそこのお店に行こうか?さっきも言ったけど他に見たい店があったら言ってくれよ?」
「うん!」
う~なんかデートらしくなってきたかも!私も大分とテンション上がってきたわ!
「じゃ、はい。」
アルバードは、しゃがんで両手を大きく広げて待っている。
あ・・・・うん。大人しくアルバードに再び抱っこされました。
また賑わってる中心部に戻ってきた。うん、こっちはやっぱり活気がすごい!
「時間が勿体ないしな、俺が何度か行ったことのあるお店でもいいか?ぶっちゃけると、上品な店構えではないけどさ。」
「うん、アルバードのおすすめなら、どこでもいいわ!むしろそういうお店で食べてみたかったし!」
せっかくだもん、いつもとは違う経験をしてみたいわ。
「OK!お姫様の許可もいただいたことだし、サクサク行くか―!」
「美味しかった~~」
「相変わらず美味かったな~」
アルバードが連れて行ったくれお店は、『浜焼き』という魚貝類がメインのいかにも大衆食堂って雰囲気のお店だった。魚貝類をシンプルに焼くだけなんだけど、そのお店の独自のソースが凄かったのよ!焼くのもサッとだけで、新鮮だからこそできる料理法だと聞いて納得だわ。
「あ~さっきの浜焼き、特に貝が美味しかったわ~」
「シエラ嬢、何個もお代わりしてたもんな(笑)」
「!だっ、だってあんなに美味しいとは思わなくって。」
そう、それにお店の人も『お嬢ちゃん、気に入ってくれたようだし、オマケしたげるね~』とか言ってくれたので、確かにお代わりたくさんしちゃったけど!
大食いと思われたかしら?恥ずかしい~~
「ま、でも気に入ってくれて良かったよ。連れて来た甲斐があった。」
アルバード、ニコニコしてる。喜んでくれているのかな?
「でだ、デザートはまだいける?」
「人気のスィーツ店ね!もちろんデザートは別腹よ!」
そして、そのまま歩いて、私達は人気スィーツ店の、『パルンミール』に到着した。
「とっても可愛いお店ね!」
「だろ?だけど、俺はここを一人で入る勇気はないけどな!」
お店は白を貴重にしたピンクの旗なんかもお店の上に掲げてあるちょっとお城をイメージした作りになっていた。如何にも女子受けしそうな、可愛い建物だわ。
「うん、そうだと思ったわ。確かに女の子連れていないと、きついわね(笑)」
自分はきっと苦手だろうに、私が喜ぶと思って連れてきてくれたんだ・・・アルバードのこういう優しさには本当に嬉しくなる。
「じゃ入ろうぜ。」
「うん!」
私達は、一番奥にある二人席に通された。気のせいか店員さんの目が優しい。多分、妹のお願いで兄だかお父さんが連れてきてもらったんだな、とか思われてそう。そう見られても仕方ないけどね!
「ご注文はいかがなさいますか?」
「えっと・・・じゃ紅茶とスフレチーズケーキをお願いします!」
「俺はコーヒーとベイクトチーズケーキで。」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ。」
しばらく待つと、ケーキと飲み物がきた。
スフレケーキは割とシンプルだけど、見ただけでフワフワ感がすごかった。
「美味しそう~~!いただきまーす。」
「あぁ召し上がれ。」
パクッ
!!
「ん~~~っ?なにこのフワフワ感!思ってた以上に舌にとろける~~」
う~幸せすぎる!舌の上でシュワってなくなるのよ!さすが一番人気だわ!
「こっちも食ってみな。全然食感が違うから。」
そういうと、アルバードはベイクトチーズケーキのお皿をこちらに向けた。
「うん。では遠慮なく・・・」
言葉どおり、遠慮なく少し貰った。
!!
「すごい!同じチーズケーキとは思えない重厚な味わいだわ!」
こっちは味わいが深いというか、またスフレチーズケーキと違って、味わいがまったりとしている。
「アルバード、ありがとうね。ホント美味しい~」
「ははっシエラ嬢に喜んで貰えて良かったよ。」
そんな幸せな気分を味わっていた時に、前のテーブルに女の子3人組が席に座った。
年は元の自分と同じくらいかな?・・・でも気のせいか、見覚えが??私はよく目を凝らしてみた。
・・・・やっぱり。
学院で一緒だった、ご令嬢のお三方だった。
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