14:魔女イライザ(シエラ)

 見た瞬間、『負けた』と思った。



 さっそく、アルバードは連れてきてくれた。昔何度かパーティを組んでいたという、魔法のエキスパートやらを。


 その人は・・・


 びっくりするくらい、妖艶な美女だった!


 色気のある感じでいうと、バランドールで見たミランダ嬢もだけど、この人はその比ではない!色気が凄い!なんていうのかしら?もうね、滲み出てるのよ! 私自分で言うのもなんだけど、そこそこ容姿には自信あったのよ!(今はお子様だけどね!)


だったんだけど、なんていうのかしら、この人、さらけ出す雰囲気と言うかオーラが常人じゃないのよぉおお。





「ごめんなさい。貴族であれば、目上の方からお声がかかるのを待ってなきゃいけないんでしょうけど・・・私貴族じゃないから省かせてもらうわね。 初めましてイライザよ。」



声も色っぽいーーー!まさにザっ大人の女って感じ!!


 わ、私だって、元に戻れば!!

 ・・・って、何張り合ってるんだろ?


 いけないいけない。私は王女でこの人は、わざわざ協力してくれる人なんだから!



 「いいえ、お気になさらないで。私はシエラ・リル・アルカディアです。この度はご助力いただけるとのことですね。感謝いたします。」



 「・・・・」


 あれ?なんか・・・えらくジッと見られてるわね?もしや顔になんかついてるかしら?やだ恥ずかしい!!


 「・・・・可愛い・・・」


 「え?」


 「キャーーー可愛いーーーー!!」


 ええええぇぇぇええ!


 「やだ、アルト!!こんなに可愛いなんて、ちゃんと先に言っといてよぉお!心の準備ってものがあるでしょ!!」


 「・・・お前、相変わらずだな。まぁ可愛いっていうのはよくわかるけどね。」


 アルバードはなんか呆れてる。けど。この人見た目のギャップがー

って、あれ?アルバードも可愛いって言ってなかった?可愛いって!私のことー


 んんっ?アルトって、アルトって・・・愛称だよね?うーん・・・なんかモヤってするのは何かしら?


 「ふふっ私は老若男女問わず、美しいものであれば、何でも好きなのよ♪」


 そう言いながら、手を頬に当てて、45度くらいにかしげてるけど、やっぱり壮絶に美人だわ!って、何でもいいんだ・・・


 「あーシエラ嬢驚いたよな?」


 コクコク、と私は頷いた。見た目に反して、まさかミーハーな反応されるとは思ってなかったので、びっくりしちゃった。


 「彼女は、俺と同じS級の冒険者で、魔女の血の連なる者、そしてバランドール人でもある。要はハーフだね。」


「魔女・・・この方が。」


 私は初めて魔女を見たのでちょっと驚いた。先に別の意味で驚かされちゃったしね。

 バランドールで留学した時に、魔女のことは学んだ。魔女は実は人とは種が異なる。生まれるのは必ず女性で、強力な魔力と人とは異なる長い寿命があると聞いている。見た目はほとんど変わらないんだけど、赤い目が何よりの魔女の証だと。

 それに魔女は女性しか生まれないので、伴侶の男性は種族が異なるのは当たり前なのだそうだ。



 「そ、魔女のイライザよ。可愛いお姫様♪」


 そういうと、彼女は私にウインクをした。

 真っ直ぐな長い黒髪に赤い目が彼女の妖艶さをさらに引き立てているように見える。


 「魔女の方でしたか、それならば一層期待が増すというものです。どうかご助力くださいませ。」


 「やーん、そんなにかしこまらないで!」


 ・・・のりが軽いわね。でも何となくだけど、悪い人ではなさそうな気はする。


 「ほら、ライザ、もうその辺にしとけよ。」


 「だって、可愛いんだもの~~~」

 

 「はいはい、それはまた今度な。」


 お互い、愛称で呼び合う仲なんだ。・・・なんだろうまたモヤモヤする。



 そうして、公にできない話し合いが私の部屋で行われた。







 「フム・・・両想いで解呪ねぇ。」


 「そうらしい。なかなか難しいよな?」


 「そうねぇ、こればっかりは。」


 ですよねー。魔女様が言うんなら、やっぱり簡単ではないんだろうな。  


 「でもさ、二人婚約してるんでしょ?手っ取り早く両想いになれば早いんじゃないの?」


 「そ、それはそうなんですけど、アルバードとはまだ会ったばかりですし・・・」


 「そ、そうだ。貴族だからな。恋愛結婚できるほうが珍しいんだよ!大体は政略結婚が大半なの!」


  あれ?なんだろ?今心がチクっとした。


 「そーなのね。お貴族様は大変ねー。でも、任せて!こーんな可愛い女の子を悲しませたままなんて、私のプライドが許さないわ!必ず解呪してあげる!」


 「おぉ、さすがライザだな!頼りにしてるぜ!」


 「アルト任せてちょうだい!」


 ふーん、仲いいんだな・・・


 「ありがとうございます。魔女様。」

 

 私は社交辞令張りの顏は作れていたと思う。

 なんだろう?モヤモヤが止まらない。なんでだろう??



 「さ、もう遅いから明日から活動するとしてと、さーてとどこで泊まろうかなぁ?」


 「なんだ宿とってなかったのか。」


 「アルトが急に呼び出すからでしょ!」


 「あぁそうだったな(笑) なら、俺の屋敷来る?」


 「あらいいわね!じゃお言葉に甘えちゃおうかしら?」


 !!

  

 「あ、あの!魔女様!!」


 「なーに、お姫様?」


 「よ、よろしければ、このまま王宮でご宿泊されませんか?晩餐もご用意いたしますし。」 

 

 「あら?いいの?王宮なんて泊まっちゃって?」


 「はい、勿論です!私もまだ色々お話させていただきたいですし。」


 「まぁ、女子トークってやつね!じゃ、今夜は王宮でお世話になっちゃうわ!」


 「はい、では手配させていただきますね。ユーナ、お願い。」


 「かしこまりました。姫様。」


 そういうと、ユーナはお辞儀をして、部屋から出ていった。


 

 「シエラ嬢、なんかごめんな。」


 「いえ、解呪にご協力いただける方ですもの。大事なお客様ですわ。」


 「こいつ、見かけによらず、いや見たマンマか?よく喋るから面倒になったら適当にあしらっといたらいいからな。」


アルバードは、シエラの口調が砕けてないことに、気付いてはいたが、他に人がいるせいかもと思い、触れずにおいた。


 「ちょっとー!失礼ね!!」


 「俺は間違ったことは言ってない。」


 「・・・お二人仲がいいんですね。」



 シエラは小さな声でボソッとつぶやいたが、イライザはそのつぶやきを聞き逃さなかった。

 


  「あら?ふーん・・・」

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