8:再び、謁見の間にて(アルバード やっと俺のターンに戻ってきた!)

 「シエラ王女は、呪われたということですか?」


 「そうだ、見ての通りだ。」


 そっとシエラ王女を見てみる。うん、さっき俺のこと思い切り睨んだ子だね。あ、子って子供じゃないんだったな。理由はわからないけど、あんまり好意的に思っていない男のとこに嫁にって、可哀想だと思うんだけどね?


 とはいえ、なんで俺にこの縁談持ってきたか、わかったわ!


  「陛下、失礼ですが、お話というのは縁談だけではないということですね。」


 そう言うと、陛下は頷いた。


 「婚約をしつつ、シエラ王女様の呪いについても、解呪せよ。ということですね。」


 「そういうことだ。だがな、解呪方法はわかっているのだ。」


 「え?わかっているのですか?」

 

 まさか方法がわかっているとの返事に俺は少々驚いた。

 だが、わかっているのに、できていないってことは、それも訳アリなんだろう。


 「わかってはいるのだが・・・それが中々に厳しいというか、難しくてな。それで卿に他の方法を探してもらいたいと思っている。」


 「なるほど。ちなみに判明している解呪の方法というのは?」



 「私と・・・」


 そうすると、今まで会釈しかしていなかったシエラ王女が話し始めた。


 「私と相思相愛になれる方がいれば、呪いは解けるのだそうです。」


 「相思相愛・・・ですか?」


 「そうです。両想いです。」


 「「・・・・・」」

 

 なんだ、そのおとぎ話みたいな設定は!

 それって何気にめっちゃハードル高いじゃん!

 うん、そりゃ他の方法模索したくなるよね!


 「なるほど、確かに仰る通り他の方法を模索した方が良さそうですね。」


 「そういうことだ。卿が過去に冒険者をしていたということに期待しておる。どうか・・・どうか頼む!娘を元の姿に戻してやってくれ!」


 そういうと、王もやはり人の子の親なんだなー。家臣に頭を下げっちゃってるよ。

 うん、ようは俺に依頼をしたかったってことだね。それと同時に俺が侯爵っていう立場も都合が良かったんだと思う。


 俺の中で話を整理すると、こんな感じ。


 王女の幼児化の呪いは公にはできないし、かと言ってそのままでいい訳がない。そこへ俺という、冒険者の経験もあるし、しかも数少ない希少なSランク。俺自身も冒険者の頃は身分を特に公にしていないし、そして婚約者に逃げられたばかりで、もっか独身中。

 侯爵という身分で降嫁先としても申し分もないし、秘密ごと持っていってもらえると、まさに俺はドンピシャに打って付けの物件だったって訳だ。


 うーん、食えねぇ狸親父だわ!(ちなみに陛下は太ってないけどな!)


 ま、いいけどね。俺も婚約者に逃げられてるし、また探すの面倒だし、王家に貸しつくっておくと、お家のためにも後々やりやすいだろうからね。


 「承知いたしました。アルバード・セル・アーベンライン謹んでこのお話を承ります。」


 「受けてくれるか!助かるぞ!アルバード!」


 「王女の解呪には全力で当たります。」


 「うむ、頼もしい限りだ。期待しておるぞ!」


 「はっ!」

 

 「では早速だが・・・婚約の契約書をすぐに交わそうと思う。宰相これに。」


 「かしこまりました。」


 宰相が控えてたのは、それの為かー! まさか即日とは!(汗

 けど・・・王女様は俺でいいのかな?(さっき睨まれたしね!)

 


 とはいえ、王女様も選り好みできる状況じゃないんだろうけどね・・・





 こうして、異例の速さで、俺とシエラ王女の婚約が交わされた。

 本来は婚約式をするのが普通なのだが、何せ今の王女は幼女になっているので、人前には出ることはできない。建前は療養中のため、落ち着いたらという話になっている。(勿論元に戻れるのが前提だ!)


 さて解呪案件は前に何度か依頼を受けたことはあるが・・・。今回は王族だもんなー。きっとバランドールも手を尽くしてはいるだろうが・・・まずは調査のためにもシエラ王女に事情聴取だな!

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