貴方と

短編 読み切り

「キミの顔を好きになるのには、ちょっと時間かかりそうだ」

貴方はいつだってそう。

私の顔を見て、初めはいつも驚いた顔をしていた。

やっぱり、男の人って顔でしか見れないのかな。

なんて、そんな事を思いつつも

私のために努力してくれる姿に、今まで以上に惹かれていくなんて、皮肉ね。

笑顔が増えたね。

私と出会った頃は、本当に死にそうな顔してた。

冗談にしては笑えないって？

冗談じゃなくて、本当の話。

文字通りの意味で、本当に酷い顔だったわ。

でも、最近は思い詰める様な姿は殆ど見えないもの。

家族に手紙は書いた？

ちゃんと書かないとね。

きっと迷惑かけちゃうから。

友達に挨拶は済ませた？

この前会ってきたのね。

良かった。

じゃあそろそろ行こっか。

そんなに心配そうな顔しないで。

貴方がこの世から旅立っても

私だけは、貴方と一緒に歩いていけるのだから。