転生トラックには上手にはねられたい
monaca
プロローグ
「今日の運勢ですが……どうやら貴女は転生するみたいです」
「へ?」
思わずへんな声がでた。
高校からの帰り道に辻占いを見つけて、物珍しさに任せて運勢を見てもらったんだけど……。
「嘘ですよね?」
「ほんとうです。あっ、『当たらぬも八卦』ですけども」
「じゃあ当たらないこともある?」
「まあ、今回は結構自信ありますねー」
よく見たら結構な美人のその占い師さんは、にっこり笑っている。
いやいや。
いやいやいや。
なけなしの千円を失った結果がこれって、ひどくない?
「て、転生ってことはあたし死にますよね?
どうやって死ぬとかわかったりします?」
どうにか食い下がって千円の元を取らなきゃ。
いや、生死に関わることを占ってもらえた時点でかなり価値はありそうだけど、もっとこう、ディテールを知りたいわけ。
「んー。そうですねえ……」
お、なんかわかりそう?
「一般的にはトラックにはねられますね」
「一般論に逃げないでっ! お姉さん占い師でしょ?」
「見えないものは見えません」
そんなあ。
「とにかく!」
占い師のお姉さんは話を打ち切るようにいう。
「このまま帰宅途中に転生するみたいですから、早めにおうちのかたにはLINEでお別れしといたほうが良いですよ」
LINEでお別れって……。
重いのか軽いのかわかんないよ。
「はー……」
人生最後になるかもしれないでっかいため息をついて、あたしは占い師さんのまえから離れることにした。
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