君との夏は流星群となって夜空に降り注ぐ
空野 雫
序章
流れ星がきらりと一つ光った。たった一つ。その一つに続きいくつもの流れ星が流れる。その様子に周りにいた人々の歓声は次第に大きくなっていく。
「君は流れ星ってどんな時に流れるか知っている?」
消え入りそうな声で言った君の声を僕は思い出した。
「流れ星はね、あれは、大切な人との思い出なんだよ」
今の僕より幼かった頃の僕は首を傾げた。
「昔おばあちゃんが言ってたの。いくら大切な人との思い出でもね、人間ってそれ以上に忙しくて、大変で、苦しくて、辛いことで頭がいっぱいになっちゃって、その子の事忘れちゃうんだって。でもね、歌の歌詞の一部とか、ある本のたった一言で、その人との思い出が溢れかえる時があるんだって。そんな時、流れ星が流れるんだよ」
「じゃあ……今日みたいな流星群は……――」
「ウワァアア!!!!」
「お母さん、見てみて!」
周りの人の声によって僕の意識は思い出の中から帰ってきた。
11月18日 今日は流星群が見れる日。
大切な人との思い出が夜空に降り注ぐ日だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます