Distel
威風透真
プロローグ~ある英雄の最期~
森の奥深く、花が集まるその場所に一つの墓があった。一人の男がそこに向かって歩いていく。彼は手に持った花束を墓に添えると、手を合わせ黙とうする。黙とうを終えると男は墓の前に座り込んだ。
「久しぶり。中々来れなくて悪かったな」
「ああ、元気にしてたよ。無傷とは言えないが、病気はしていないからな」
男は墓に向かってひたすら話し始める。その声色や表情は穏やかで、話す内容はどれもありふれたものだった。
「長くなっちまったな」
「……全部終わったんだ。あとのことは全部***に任せてきたよ」
「あいつに任せれば安心だ。初めて会った時に比べたらずいぶん立派になったよ」
「…もう、思い残すことはないんだ。俺にできることは、全部終わらせた」
そういうと、男は片手に銃を持ち己のこめかみに向ける。
「今行くよ、お前と遊びたくて仕方がないんだ」
男は笑った。少し眉を下げて、どうしようもなさそうに笑っていた。男が目を閉じる。銃声が聞こえて、男の身体が倒れる。
男はとても穏やかで、幸せそうな表情をしていた。
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