第28話 8-4
ドアを静かに開け、ご飯を取り階段を下りる。
一人で迷っていても変わらない。
恵にもそのままの真実を話す事にした。
食器類を下に持っていきながら、キッチンの机に座った。
「ーーちょっといいかなぁ?」
なるべく普段通りの声。
でも、違ったかも知れない。
「なに?」
恵も目の前に座った。
「ーー落ち着いて聞いてほしい」
「わかったわ」
恵は頷く。
秀二はこれまでの話を恵にも伝えた。
嘘も隠しもしないままーー。
「それじゃただ、あの人は利用されただけだと?」
恵は言った。
「そうーー巻き込まれて、利用されて殺された。俺はどーするべきなんだろう?」
恵は黙ったまま、うつむいている。
「ーーちょっと待って。お茶でも入れるわ」
立ち上がろうとした時、フラッとよろけて母はそのまま、倒れた。
救急車が到着すると、状況を聞かれた。
「ーーいきなり倒れたんですか?」
「はい。その前に少し大切な話をしていましたが、、多分それでショックを受けたんじゃないでしょうか?」
秀二は言った。
「どんな話をしてたんですか?」
「父の死の真相です」
「わかりました。とりあえず病院に連れていきます。掛かり付けの病院などはありますか?」
「ーーないと思います」
「わかりました。あなたのお名前は?」
「斎藤秀二です」
「恵さんとのご関係は?」
「お母さんに当たる人です。訳あって別々に住んでいましたがーー」
「それじゃ一緒に行きますか?」
救急隊に聞かれ、俺は静かに頷いた。
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