第7話 第五話
これまで集めた父の遺品。
俺はそれを調べてみる事にした。
まず、婚姻届を開いてみると、ペラペラな紙には「斎藤健吾」の名の横に「原口恵」と書かれている。
どうやら、二人は同級生らしい。
生れた年が一緒だ。
なぜ、この婚姻届を持ってるのか?わからないけれど、俺はこの原口恵という人に、会ってみようと思った。
父が使っていたケータイ。
俺はそれをポケットの中に入れた。
寝てる間も、ケータイを確かめる様にしてポケットの中に手をしまったままーー。
翌朝。
目が覚めると、洗顔と歯磨きを済まして外に出た。ポケットの中に、父のケータイが入っている事を確認する。
ーー大丈夫。
父さんのケータイは、ここにある。
ブルブルブル。
ポケットの中で、ケータイが振動して、電話が鳴っていることを知らせている。
液晶画面には「原口恵」と出ていた。
「ーーもしもし?」
恐る恐る俺はその電話に出る。
「もしもし健吾ー?」
明るい女の声がした。
「どなたですか?」
「え?ーー斎藤健吾さんのケータイですよね?」
「そうですが、父は死にました」
「死んだ?ーー冗談でしょ?」
女の声のトーンが下がった。
「本当です。」
「ーーあなたは?」
女の声が聞く。
「俺は健吾の息子で、秀二と言います」
「ーーあぁ、あなたが?ーー健吾さんの話聞きたいわ。一度、会えない?」
すぐさま、俺はオッケーの返事をした。俺にとっても、都合のいい誘いだった。
会ってみたいと思っていた人に、会えるチャンスが来た。
俺は小さなメモ帳と、ボールペンを一本だけ持って、彼女に会いに行った。
待ち合わせ場所に来ていたのは、小柄でショートカットの女性だ。
「ーーもしかして、あなた、、が?」
俺の方が言葉をなくしてしまう。
そこには、あの写真に写っていた女性がいたからだ。
ニッコリと微笑んで頷いた。
「ーー私あなたのお父さんと結婚の約束をした原口恵です。よろしく」
「ーー結婚の約束?」
「そう。いろいろあって、結婚は出来ていないんだけど、あなたの母でもあるのよ」
女は軽い口調で言った。
俺の人生に関わってくるそんな大事な事をーー。
「ーー本題に入るわね。あなたのお父さんはどーして死んじゃったの?」
女が聞く。
「警察の話では自殺だと言うことでしたが、、?」
「ーーおかしいわね」
女が警察の考えを切り捨てる。
「どーしてそう思うんですか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます