番いの詩

破竹

第1話

「たっだいま」


「あら、おかえり。今日は早かったわね。」


「んー?そういやそうか。まぁ元から楽な仕事だったしな。それに…まぁ、色々やりやすかったし」


「あら?リザードマンの彼と当番一緒だったの?珍しいわね」


「なんで…あいつと一緒だったって分かったの?」


「何年夫婦やってると思ってるの?それぐらい分かるわよ」


「ゔ…」


「ほーんと仲良いわよねー。彼の奥さんに妬かれるわよ?あ、そうそう。奥さんで思い出したけど、彼女、妊娠してたわよ。三ヶ月」


「まっ…じか!?いやー!あんな若いハーピーの嫁さん貰うなんてどうにかなっちまったかと思ったが、デキ婚か!先越されちまったかぁ!ははは。明日にでもからかいに行かなきゃな!」


「そういうとこよ?」


「え…?何が?」


「雄ってのはこれだから…」


「あの…?」


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!もーいいわよ…それで?あの子たちより夫婦歴は私たちの方が長いんですけど?」


「え…あ、うん、まぁそうだな」


「先越されたなーって思ってるのは、あんただけじゃないって思わないの?」


「え…?あ…えーっと…今日はお仕事ちょっとハードだったので、もう寝ようかなぁ…なんて…思って…たり?」


「あら、今日は満月なのに?随分と大人しい狼男さんもいたものね。猛々しいあなたはもういないなんて寂しい。具体的に身体が」


「ゔゔゔ…そこまで言われちゃうとなぁ…うーん…大丈夫?満月の日にタガ外しちゃうと…多分今回も『朝まで乾く間もなく』になっちゃうよ?」


「ふふふ、今日は望むところよ。それに私は人魚だもの。乾いたら死んじゃうじゃない…ね?」

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