第2話 シラナイミライシレルミライ
想定外の事態に緊張した声になった。その声とは真逆に高らかと話し始めた。
「それでは自己紹介をしよう!
私は
派手な見た目に名前が致するような印象を覚えたが、ミライブとはなんなのか。このときの俺には未来部とは変換できていなかった。
「ミライブ?とは??」
視界にはるこさんを確認し、少しだけ頭が回るようになった気がする。
「実にいい質問だね!はるこくん、説明したまえ!」
この人のキャラ設定がよくわからなかったが、はるこさんとの関係性は気になるところだ。見た目だけだと真逆の二人である。
「それじゃ私から説明するね。未来を知ることができる人たちが集まる部活が未来部なの。もう少し付け加えると未来を知る権利が与えられる人も活動できるの。騙すようなかたちになっちゃったけど、私がみた中の最良のパターンがこういうかたちになっちゃったのはごめんね」
最後に謝ってくれたこと以外は何を言っているのか理解できなかった。
「花山なつおくん!つまり君は未来を知る権利を得られたのだよ!これは実に光栄であり、2030年の現代においてかなり貴重なことである!」
ここまでの話を聞いていた俺は、体温が頭から下へスーっと落ちていくのを感じた。
「そうなんですね。あざーす。じゃあ今日は塾があるので失礼します!」
あからさまに嫌な態度をとり、この場を去ろうとした。
「そんな未来は無い!!」
一瞬ビクッと反応するぐらいの声量に、華奢な割には声が出るなと驚いた。
「あのー、とりあえずなんか凄いことをする部活で、その凄いことをする部長さんに選ばれたのはありがたいんですけど、、、俺、野球部なんで、、、」
「君は野球部を辞めるつもりでここに来たんじゃないのかい!それに今の君が野球を続けても居場所がないのはわかっているだろう!」
図星だった。
「あんたには関係ないだろ!それにケガしてるからって、、、これはそんな大したことじゃないし、、、それに俺は赤の他人に決めつけれられるのは好きじゃない」
いきなりのど直球に、つい強い口調になってしまった。
「これは私が勝手に言っているのではなく、決まっていることなんだよ!まぁこのやりとりも決まっていたことなんだがね!」
そういうと、これでもかとマスカラの付いた睫毛を強調するかのようにパチッとウィンクをしてきた。
まるでどこかのマンガに出てきそうな女キャラのテンプレートのようだった。
「なつおくんが私たちのことをおかしく思うのは当たり前だよね。でも今はこれぐらいの説明しかできないの。それに、、、
おや?ちょっと待てよ。冷静になれ俺。よくよく考えれば女性二人からの熱烈な誘いだぞ。
確かに俺はずっと野球一筋でやってきて、テレビでみるようなスター選手に慣れると思い頑張ってきた。それに近づいていると思っていた。ただ、ケガをして今の自分の立場を考えたらどうだ。自分の変わりなんていくらでもいる。それに高校生でどんなに活躍してもプロに入って生き残れるのはほんのひと握り。
「、、、なつおくんをみつけたとき、、、
はるこさんが何か言ってるけど、全然頭に入ってこない。
きっとケガに負けずみんなのサポートにまわって野球を続けるのもよくある話で、甲子園に行ったときなんかはメディアにも取り上げられたりするんだろう。
だがしかし、それは正直まわりが美談にしたいだけだよな。俺はそう思っていたし、俺は正直そういう立派な人間ではない。
主人公でいたいから。
「、、、やっと、、、ここからが、、、
未来がどうこう言ってるけど、たしかに今は過去よりも未来を考えて。
それに今まで野球を理由に硬派ぶっていたが、ほんとは女子にモテたいし、ちょっとチャラチャラしたこともしたい。
ぶっ飛んだ話とキャラだけど、冷静に見ると二人とも見た目はかなりのレベルだし。いやいや、人を見た目で判断するのは良くないけど。こういう学園ものドタバタコメディーみたいな主人公的な生活みたいなものが、何も無くなった俺には退屈しないかも。
「、、、最後に、、、重要な、、、
なんか話がよくわかんなかったけど、逆に野球を断ち切るきっかけになったかも。それに初対面のインパクトが強かっただけで慣れてきたら案外楽しそうかも。
やべっ、全然話聞いてなかった。
「あっ、ちょっといきなりだったから俺も困惑しちゃったけど、とりあえず様子見で参加しようかなーと思っちゃったり、、、
セールスの勧誘に負けたときのような感覚なのだろう。俺は少し恥ずかしい気持ちになり小声になっていた。
「重要なこと話すね」
はるこさんの話が終わっていなかった。うつむき加減だったせいか俺の声は届いてなく、また恥ずかしくなった。
「翔子さんは未来人なの」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます