冬、青年Ⅳ
それからの僕は、外出の際に携帯する端末には、料金や代金の支払い、緊急時の電話、カメラなど、必要最低限の機能しか求めなくなった。業務連絡や調べものは家のパソコンで十分だったし、俄然、オリジナリティをもった時間が増えた。どこにいても知らない誰かに監視されているような、繋がりたくない誰かに無理やり手を繋がれているようなあの圧迫感が、一気に解けたのである。身体が妙に軽くなったのは、この頃からだったろうか。
そんなことを考えながら、常設展のある三階までエスカレーターに運ばれる。
平日の午前の広い館内には、僕と、案内ないしパフォーマンスをするロボットたちしか見当たらない。いつもは人のスタッフもいるのだけれど、今日は少し静かだ。まるで時が止まったかのような世界に少し冒険気分になりながら、中央にある地球の模型ジオ・コスモスを観ようと緩やかな螺旋の坂を進む。しかし、途中で立ち止まってしまった。珍しく先客がいたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます