小僧では無い、俺は女だ!!

犬時保志

第一章 ルイの天下統一

第1話 辺境の開拓村

 大森林を2日程入った小さな池しか無い所、よくもこんな場所を開拓しようと試みたと、呆れられる、ここはまだ名前も付いていない、最果ての開拓村である。


 開拓は難航していて成功するか、失敗に終わるか、もう一踏ん張りと言った微妙な状態、まだ村は自給体制すら整っていなかった。

 そんな村の中を元気に走る、村で唯一人の子供がいた。


 今日も元気な、一見少年に見える少女ルイは、村で唯一の狩人クマイに付きまとっていた。

 ルイはクマイを、勝手に師匠と呼んでいて、7才の時から5年近く、猟の手解きを受けて来た。


 勝手に付きまとうルイだが、クマイも気に入っているようで、猟の技術を丁寧に仕込んでいた。


 小柄なルイは猟に結構向いていたようである。

 最近では、鹿などの大物も狩れるよう、腕も順調に上達してきた。


 二人の猟の成果で、食料自給率の低い村人達を、飢えから救っている状態である。



「師匠!今日は山で猟をします?」

「いや、山は荒れそう、今日はウサギの森で狩りをする」

「じゃ、弓と山刀やまがい持って来ます」


 山は罠が主体で、森はウサギや鳥を、矢で射る猟になる事を確り学んでいた。




 今日に限って、ウサギを見付ける事ができなかった。

 鳥が3羽、めったに無い不猟だ。


「師匠!このままでは村人に肉を配れんだろ、もう少し奥に行きましょう!」


「そうだなウサギの森、この奥は初めてだ、注意しながら進むぞ!」

「はい!師匠!」

「ルイ!誰にでも、今みたいに話せば、悪ガキなんて言われないのにな」


「尊敬する師匠以外に?あははっ、バカ言ってないで進みましょう!」

「お前な、俺に対する態度と、親父さんや村の連中に対する態度違い過ぎだぞ!」


 鬱蒼と茂った森を抜け、突然開けた場所に出た。

 そこには小山が有り不気味な祠が見えた。


「あれっ?師匠!あの祠は何?」

「こんな所に?祠が有ったのか、古いな!」



「これは、何かを封印した祠だな!ルイさわるな···おい!!捨てろ!!」

「えっ?綺麗な指輪···勝手に左手親指に···嵌まった?」


「おい!!危険だ!!捨てろ!!」

「師匠、抜けないよ!」



 急に土砂降りの雨が降りだした。

 大切な弓や山刀が濡れてはと、二人は祠の中に雨宿りに入った。


(指輪と腕輪はセットで使用せよ)

「えっ?何?」

「何も言ってないぞ」

「いや、頭の中で【指輪と腕輪はセットで使え】って」


「腕輪?あぁ其処にあるやつ···こらぁまた勝手に取って!!」

「いや、師匠勝手に右腕に嵌まったんだぁ!」


「ルイ!!異常は無いか?」

「何か?···身体の芯があつい!!!」

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