ラノベ勇者
あびす
ラノベ勇者
「観念しろ、魔王!お前は俺が倒す!」
「ククク……。ついにここまで来たな、勇者よ!だが無駄だ、返り討ちにしてやろう!」
魔王城の最上階で、勇者達一行と魔王が対峙していた。魔王の放つ禍々しいオーラに気圧されそうになる勇者だが、後ろにはこれまで数々の苦難を共に乗り越え、何よりも堅い絆で結ばれた仲間達がいる。戦士、魔法使い、僧侶。彼らの存在とが何よりも背中を押してくれる。
勇者は剣をしっかりと握り直し、魔王に向かって突っ込んでいく。
「喰らえ、魔王!マスターソード!」
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「待て待て待て待て」
勇者は立ち止まり剣を下ろす。
「なんだ!もしや命乞いでもする気か!」
「いやいや命乞いとかそんな話じゃないだろう。なんだそれは」
「これは選ばれし者だけが抜ける伝説の剣、マスターソードだ!これを持つ者は魔王と倒すと言い伝えられている!」
「別にその部分を聞いているのではないんだが、この……なんというか……。小説というものはあくまで言葉を巧みに使って読者に情景を想像させるものなのだぞ」
「何を言っているんだお前は!」
勇者は再び剣を構える。
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「ああああ下ろせ。うん、一回下ろせ」
「何を訳のわからない事を言っている!まさか、怖じ気づいたのか!」
「待て待て待て待て。うん、そのままそのまま。その、うまくは言えないが、おそらくその剣に動きがあるとまずい気がする。頼む、下ろしてくれ」
勇者は渋々剣を下ろす。
「なんなんだお前は!このマスターソードなしで戦えというのか!」
「うん、その名前もまずいのだ。何か他の名前はないか」
「マスターソードはマスターソードだろうが!」
「待て待て構えるな。あとあまり連呼するな。少し他の名前を考えてみようではないか」
「そうだな……。ロトの剣なんてどうだろうか」
「やめろ。モロじゃないか。一個前はなんとか言い逃れできるかもしれんが、それは無理だ。その単語はそれか宝くじでしか使わんのだ」
「ええい、呼びにくい!きちんとマスターソードと呼べ!」
「わかった、わかったから構えるな!仕方ない。それで行くが極力名前を呼ばないでくれ」
勇者と魔王のやりとりに苛立ちを覚えたのか、大きな盾を持ち鎧に身を包んだ戦士が前に出てきた。
「なにを言い合っているんだ!さっさと始めるぞ!」
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「やめろ!お前は出てくるな!ちょっと下がっていろ!」
魔王のあまりの剣幕にひるんで下がる戦士。
「ふっ、恐れをなしたか!」
「ああ恐いとも!あまりの作画コストに恐れおののいているとも!小説なのに作画って意味がわからんだろう!そもそもお前『大きな盾を持ち鎧に身を包んだ戦士』って説明があるんだからそれでいいだろう!」
「さっきから何を話しているの!これは人類の命運をかけた戦いなのよ!」
しびれを切らしたように魔法使いも前に出てきた。
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「やめてくれ!頼む、どうか小説という形をとらせてくれ!もはやセリフと最低限の状況描写しかないのだ!」
僧侶も前に出てこようとした。
「さっきから何を
「やめろ!もうこれ以上出てくるな!本気で燃やすぞ!」
魔王の必死な形相に僧侶は後ずさった。
気を取り直したように勇者が叫ぶ!
「まあいい!魔王よ、お前はここで俺が倒す!喰らえ、マス……、なんかすごい剣!!」
「よし!よくがんばった!それでいい!」
勇者が力を込めると、剣は光り輝きだした。それを大きく振りかぶり、
振りかぶり、
「あ」
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「意味がわからあああん!なぜ剣が大きくなる!そしてなぜそれを描写する!」
「意味がわからないのはこっちだ!それとまだ大きくなるぞ!」
「まだ大きくなるの!?あとこの状況を当然のようにに受け入れるな!もういい、とりあえず終わらせよう。一端お前達を倒す。大丈夫、教会とかで復活できるから……」
「そうはさせん、喰らえ魔王よ!これが俺たちの本気だあああああ!」
勇者の声に呼応するように、剣はどんどん巨大化してゆく。
「あ」
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終
ラノベ勇者 あびす @abyss_elze
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