第十六夜「熱い思いの星」
宇宙空間には冷たい闇が広がっている。目に見える星は恒星のみ、惑星はよほど近いか反射率が高くないと肉眼で見る事は出来ない。しかし、そんな冷たい空間に熱い思いの星が浮かんでいた。
イーグルは彼等とコンタクトした時、炎に触れた様な気がした。彼等は常に未来を見詰めて居る。そして、必ず実現出来るとも。
「なんだい、地球人は諦めてしまったのか?」
「いや、諦めちゃいない。それが証拠に僕が宇宙の探査をしているじゃ無いか。」
「でも、自力で、自分達の力だけで宇宙に乗り出す事はしてないんだろう?」
「ああ、確かに、自力で航行する宇宙船は、太陽系付近を行き帰するだけだ。」
「それは、諦めたって事じゃないのかい?」
「そう…なんだろうか?方法論の問題じゃないのかな。」
「僕達は違う、必ず自分の力で見つけるよ。宇宙空間を自由に行き帰出来る方法を。その為に、星一眼となって研究を続けて居る。」
おそらく、彼等の様に骨の有る考えをした時期も地球に有ったに違いない。今は、人口減少で、新規に技術開発する範囲も限定されてしまっている。だからレーダースの出番なのだ。
「君達は、技術開発に成功したらどうするつもりだい?」
彼の声が急に沈んだ。
「……残念ながら、星自体の寿命は、もうそれ程長く無いんだ。だから、自分達が生きて行ける惑星を見つけて移住するつもりだ。」
「成程、目標を達成出来れば良いね。」
僕は彼等を慰めた積りだったが、
「本当の事を言うと、この星を捨てて別の星に移住するのは本意では無いんだ。」
「何故?そうしないと、君達が滅びてしまうんだろう?」
「でも、僕達が移住するという事は、その星の自然を壊して、進化の可能性の芽を摘んでしまう可能性だって有るだろう?」
「確かにそうだ。それに、先に目を付けて居る文明も有るかも、そこで諍いが発生する可能性だってあるね。」
「全く、その通りなんだ。」
「なら、いっそのこと星を動かして別の太陽系に移動したらどうだい?」
僕は冗談のつもりで言ったのだが、彼らの反応は違った。
「それは名案だ!早速会議にかけてもらうよしょれじゃぁ!」
コンタクトは慌しく切れてしまった。宇宙に又、闇だけが広がった。イーグルは変なことを焚き付けてしまったことを激しく後悔した。
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