第42話
そして、買ってきたままだとなんだから、と多少手を加えたらしい。ポテトとベーコンのグラタンっぽいものや、串焼き、それとレタスとキャベツ、ミニトマトのサラダ。……が、大量に並んでいる。
「ふふっ」
セレストが可笑しそうに笑うので、ちらりと視線を向けると、セレストが「わたくしの好きな物ばかり」と小声で教えてくれた。ナタンはセレストの好みを把握しているようだ。
ジェフリーとダーシーが席について、それぞれ好きなものを取って食べることに。サラダから食べた。ドレッシングはオリーブオイルと塩のみのシンプルさだけど、レタスは瑞々しいし、キャベツも歯ごたえが良い。ミニトマトのジューシーさも美味しい。甘いトマトだ。
ポテトとベーコンのグラタンもチーズが伸びて楽しい。マッシュされたポテトと、塩気の利いたベーコン。多分、ポテトはマッシュした後、牛乳で煮ている。……逆かな、牛乳で煮て崩したのかもしれない。まぁ、どちらにせよとろーりチーズと相性バッチリ!
串焼きも様々な種類があって、見ているだけで楽しかった。
味も絶品だったけれど! 美味しいものを食べている時間って、幸せだなぁって気持ちになれる。食べて、休んで、また冒険者として頑張ろう!
食事を終えて、食器を片付ける。みんなでやれば早い早い。あっという間に終わり、それぞれの自室へ。私も自室に向かい、ベッドの上に寝転んだ。……ゴブリン退治、あっという間だったなぁ。
ごろんと仰向けになって天井を見つめる。明日はどんな依頼を受けようかな。私ひとりでも出来ることなら、自力でやってみたい。
――っと、うとうとする前にパジャマに着替えないと! 慌ててパジャマに着替えて、椅子に座った。鞄から錬金釜を取り出して机に置く。他にも薬草と甘味草などを取り出す。薬草にも種類があって、今私が手にしたのは疲労回復に役立つ薬草。……まぁ、栄養ドリンクみたいなものを作ろうと思う。みんなに渡すんだ~。
錬金釜にひょいひょいと材料を入れてかき混ぜる。……完成! 簡単で良いわ。栄養ドリンクだから、薬草と甘味草の他にもいろいろ混ぜ込んだ。
「それじゃあ、これは後でみんなに配ろうっと」
出来上がった栄養ドリンクを鞄にしまい、錬金釜を綺麗に洗ってから鞄に戻す。よし、これで明日の準備は良いだろう。
ふわぁ、と欠伸をひとつ。眠くなって来たから、今日はもう休んじゃおう。ベッドに潜り込んで目を閉じると、あっという間に眠りに落ちた。
☆☆☆
朝、起きて身支度を整えて食堂に向かう。食堂にはルイが居た。セレストとナタンはまだのようだ。
「おはよう、メイベル」
「おはよう、ルイ。セレストたちは?」
「まだ。と言うか、今日はゆっくりする、らしい」
「ゆっくりする?」
「ああ。だから、依頼は俺とメイが出来ることを選ぼう」
私がこくりとうなずくと、朝ご飯を食べようと言われたので、椅子に座った。トーストに目玉焼き、ウインナーにサラダ、コーンスープ。……いつの間に用意されていたのだろう。ほかほかと湯気が見える。美味しそうな朝食を目にして、早速食べた。お腹いっぱいになったあと、昨日作っておいた栄養ドリンクをルイに渡すと、ルイは「なにこれ?」と興味深そうに眺めた。
「栄養ドリンク。飲むと疲れが取れるよ」
「へぇ、じゃあありがたく」
そう言ってルイは瓶の蓋を開けて、一気に飲み干した。
「飲みやすいな」
「それは良かった」
ナタンとセレストにも渡そうと思ったけど、ゆっくり過ごすのなら今日は渡さないほうがいいかな。ふたりでデートでもするのかもしれないし……。……私、ナタンとセレストが付き合っていると考えているのだけど、違うのかな……。
「それじゃあ、冒険者ギルドに行こうか」
「うん!」
食器を片付けた後、冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドに入ると、やっぱり賑わって来た。私たちふたりで来たことで、好奇心の視線が刺さる。「もう解散したのか?」とか「やっぱうまくいくわけねぇだろ、ちぐはぐじゃ」とか聞こえてきたけど……無視しましょう、無視!
「えーっと、今日はどんな依頼にしようかな……」
ぽつりと呟いてから、依頼を探す。今日は魔物討伐ではなくて、別の依頼を受けてみたいなぁ。
あ、これ良いかもしれない。私が手を伸ばして依頼書を取ると、それを見たルイが依頼書を覗き込んできた。
「……ポーション作成と配達?」
「はい、これなら出来そう! 王都に来たばかりだし、どんな街並みなのかも見てみたいし……」
「あ、そっか。ごめん。冒険者ランクが上がりやすいものばかり選んでた」
魔物討伐ってそんなに冒険者ランクが上がりやすいのかな? 私を中級ランクに上げようとしてくれているのは、とてもありがたいことなんだけどね。
王都に来てから三日目、行ったことのある場所は冒険者ギルドとルイの屋敷だけ。どこでどう買い物をすれば良いのか、とか、装備品を揃えたりする場所、道具を買う場所など知らないところが多い。知るにはまず動かないといけないからね!
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