第10話 探索1
「サクラさん、今回は眠くならないけど、今日は休んだ方が良い?」
『今のステータス値なら、前回の変化で十分に吸収出来ています。
でも、極振りを行えば、また肉体改造が必要になるので注意してください』
前回は、魅力に極振りしたから体に急激な変化が起きたと言うことか。
今のところ、他のステータスの極振りは考えていない。
時間もあるし、もう一度魔物狩りに行ってみるか。
再度、符陣から出た。
今回は、少し遠出したい。目的地は、祖母が守ったと言う国だ。場所の確認だけでもしたい。
ついでにレベル上げだ。
「サクラさん。ナビゲートお願いしますね」
『承知しました。任せてください』
今は、日が高い。そして、サクラさんの案内方向は、南なのだそうだ。地図は持ってない。スキルで作れるのかな?
いや、今はスキルポイントを無駄に消費するのは止めよう。余裕が出来てからで良い筈だ。
気配を消しながら、索敵を行い、森を進んで行く。
ここで魔物一匹が、僕に向かって来る事が分かった。気配遮断も索敵も素人レベルだな。練習が必要そうだ。
この魔物とは、戦闘は避けられないと思う。
武器を抜いて、迎撃態勢に入る。
魔物は、目視できる距離まで、突進して来た。
「恐竜かよ」
乾坤圏と金磚を投げて、双剣を抜く。
恐竜は、乾坤圏は躱したが、金磚を受けた。だけど、ダメージは低そうだ。
ここで、一気に間合いを詰めて、剣を振る。豆腐を切る程度の感覚で恐竜の足が切断された。
ラプトルみたいな魔物だ。足を失った時点で動けなくなった。でもこの状態からでも反撃して来そうだ。
全力の一歩で間合いを潰す。恐竜の背後から双剣を振ると、魔物の首が飛んだ。
「この剣すごいですね」
『陰陽剣と言います。その剣は投げても手元に戻って来ますよ』
マジに祖母の作った魔道具はチートだな。
倒した恐竜だけど、
まあ、複数に囲まれた時に、自分の実力が分かるだろう。
ドロップアテムは、肉だった。待望の食料だけど、食べられるのかな? とりあえず、石と共にマジックバッグへ。
◇
その後、数度の戦闘があったけど、無事討伐した。ドロップアイテムは、魔石と呼ばれる石しか出なかった。アイテムはなし。
サクラさんに聞いたのだけど、魔石は〈ストア〉で売らない方が良いらしい。
そのうち、使い方を教えてくれるのだそうだ。全てマジックバッグに入れて、保管している。
そして、日も傾いて来たので、食事休憩にした。
ストアで、お弁当を購入する。お弁当〈梅〉を食べたのだけど、日本で買う安めのお弁当だった。
異界の料理は出て来ないのかな? 食べてみたい気もする。
本当であれば、簡易型の符陣で休むのだそうだけど、数に限りがあるので今は使わない方が良いと言われた。
これから、夜だ。野営をどうするかな……。それとも、ログハウスに引き返すか?
『魔物は、夜間は動きが鈍くなります。寝て体を休めてください。危ない場合は、私が起こします』
ふむ……。大丈夫かな? 体を横にして、少し仮眠を取ることにした。
◇
1~2時間は寝たと思う。辺りは、まだ暗い。
しかし何かに反応して、起きてしまった。
「サクラさん。……何かある?」
『……少し遠いですが、人の集団が隠れています。目的は不明ですね』
人か……。初の異世界人だ。目的の国が近いのかな?
接触してみたいな。話を聞いてみたい。特に、祖母の話が聞きたい。
そうすれば、僕が何をすればいいかが明確になる。
『接触は控えてください。どうも良くないことを考えているようです。
言ってみれば、伏兵です。誰かを待っているのでしょう。襲撃ですかね』
「もしかして、人間同士で争っているってことですか? この危険な森で?」
『そう判断します。魔物が跋扈するこの大森林での伏兵です。証拠を残したくないのでしょう』
少し近づいて観察してみるか……。
ステータスを変更して、視力を上げる。視力は、0.2から1.0くらいまで上がった。これからは、眼鏡を必要としない生活。
少し嬉しくなった。
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知力:25%
→記憶力:13%
→演算力:15%
→集中力:15%
→発想:17%
→センス:10%
→反射:30%
→視力:5%→40%(+35%)
→聴力:35%
→嗅覚:35%
→味覚:30%
→触覚:20%
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〈知力〉は、結構項目があるな。
今日溜めたスキルポイントを全て使い切ってしまったけど、これは後悔がなかった。
◇
視認出来る範囲まで近づく。
街道があり、両側に潜んでいる人達を確認した。仮面を付けていて、武装している。
「サクラさん。僕が人族を殺したりした場合は、ペナルティはありますか?」
『……特にないですね』
大丈夫そうかな?
ここで異変に気が付く。魔物の群れが、彼らの背後から迫っていた。十匹はいると思う。
「サクラさん。彼らは背後の魔物に気が付いてないみたいですが、大丈夫でしょうか?」
『……多分全滅ですね。彼らに、魔物を傷つける術は限られています』
「助けた方が良いですか?」
『……判断はお任せします。どちらの行動を取っても、その後は良い方向に誘導します』
ふむ。重要な決断は、僕がするのか。
金磚を人族と魔物の群れの中間に飛ばして、轟音を上げた。
双方が気が付く。
まず人族の方が、逃げ出した。
「魔物の種類は分かりますか?」
『オーク族ですね。計十体います』
僕は、オーク族に突撃した。
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