第88話
ギルバート殿下とエマ殿下はそよ風を起こす練習。それで細かい紙切れを飛ばす、所謂紙吹雪ってヤツをやって頂く。結果が見えた方が楽しいからね。
他方、エリック殿下は水魔法の練習。飲水の魔法で継続して水を出す事まで出来る様になったので、それを応用して水が湧き出す勢いを強くする練習。つまりは俺の放水のミニミニ版だ。
流石の魔法大好きっ
本日の練習は特に何の事件も起こらず終了。三人の殿下方には暫くこれらの魔法の練習をして頂こう。毎回ハプニング続出では身が持たないもん。俺の胃はたとえ酒を飲み過ぎようとも穴は開かないだろうが、精神的には穴が開きそうな気がするよ。
練習終了に当たり、
こういう所を見ると、良いお嫁さんに成れそうだななんて思っちゃうね。おっと、家事は平等に分担しましょうね、皆さん。その方がきっとモテるよ。前世で独身だった俺が言うのも何だけどさ。
帰りがけに、アンちゃんが騎士団に顔を出したいと言う。まあ王城に来てるのに知らん顔は良くないよね。稽古もつけてもらってるんだし。人脈は大切にしないとね。
俺はどちらかと言えば行きたくないのだけど、先に帰る訳にもいかず、アンちゃんについて行った。どうかあの人は居ませんように。
「やあアンナ。あれ、今日はジローも一緒なんだね。」
居やがったよ。何でこう悪い予感は当たるかな?
何か嬉しそうなフレッド。苦虫を噛み潰したような俺。微妙な顔の周りの皆さん。この雰囲気誰かどうにかして欲しい。
「アンナ、やっぱり俺は城門のところで待っているよ。」
「ちょっと待ちなよ。お茶ぐらい出すからさ。」
いえ結構です。大体騎士団に来てお茶だけ飲んで帰る人なんて居ないでしょ。俺はとっとと逃げ出す事にした。ごめんアンちゃん、後は宜しく頼んだ。
「ジローったら、そんなに慌てて逃げ出さなくても良いのに。」
少し遅れて来たアンちゃんに
「身体中がムズムズするよ。さっさと帰ろう。」
多様性を認める世界は素晴らしいと思う。俺だってその崇高な理念に反対はしないさ。でもね、自分がその当事者になるとは思いもしなかったよ。悪いが俺はノーマルなんだ。普通に女の子が好きなの。
そう言う事情で、今後は城門でアンちゃんを待つ事にした。
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