酒くずおっさんの異世界日記ー死なない様に気を付けますー

Teran

第1話

(起きて下さい。)

 目を開けると、そこはぼんやりとした世界だった。ぼんやりとしか分からないが、女神様が入らっしゃるらしい。どうやら俺は異世界に行く様だ。

 暇なときにラノベとか読んでいたので、なんとなく雰囲気を察した。


 俺の記憶では飲み会でしこたま酒を飲んで、隣のお姉ちゃんに話しかけたところまでしかない。


(目が覚めたようですね。)

(ここは何処でしょうか?そして貴女様は?)


 俺だって社会人になって結構経つので、言葉遣いはそれなりに出来る。


(私は転生を司る女神です。残念ながら、あなたはお亡くなりになりました。しかしながら、あなたは異世界へ行く事になります。)


 俺はちょっと気になって聞いてみた。


(私はどの様な最期だったのでしょうか?)

(あなたはお酒を飲み過ぎて階段から転げ落ちて、頭を打ってお亡くなりになりました。)


 と、女神さまはご説明してくださった。


 うーん、記憶無くすほど飲んだんだから仕方ないか。久しぶりの飲み会で、ちょっとイイお酒も頼んでokだったんだよね。美味しいお酒はするする行けるよ。


(幾つか質問しても宜しいでしょうか。)

 折角だから、気になった事を女神様に聞いてみる事にした。


(今こたえられる事ならば良いですよ。)

 女神様からokもらえた。


(何故私が選ばれたのでしょうか。)

 自慢じゃないがそんな聖人君子じゃないぞ、俺。


(それはタイミングですね。あなたのいた世界とあちらの世界が接触した瞬間にたまたまあなたがお亡くなりになった、という事ですね。特に深い意味はありません。)

 おうふ、偶然かよ。


(行った先の世界で、何か使命はあるのでしょうか?)

(特にありません。)

 無いのかよ。


(ただ、折角転移するのですから、あちらの世界で有益な事をして頂ければと思います。)

(あちらの世界とは、女神様はあちらの世界を管理されているのではないのでしょうか。)

(私はこの世界を担当しておりますので、あちらの世界は別の女神が担当しております。)

(具体的には何をすれば宜しいので?)

 重大な使命とか、俺は無理よ。


(それに関しましては、担当の女神から説明があると思います。)


 うーむ、と考え込んでいるうちに女神様というかこの空間が薄れてきた。


(そろそろ時間の様です。この世界で輪廻転生せずに別の世界へ行くのですから、彼女とは別に私から幾つか加護をあたえましょう。)

 だんだん意識が遠のいていき、俺はまた意識を失った。

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