第24話 ライラ・カトロ
「へぇ〜、ルイーゼ様、気にならないのですか?私は気になるな。あの二人」
と言ったのは、ライラ・カトロ令嬢。
「ライラ様、まだ学園にいらしたのですか?気になるって」
「あのレイラ様のおかげでここにいるんですもの。楽しまなくちゃ。学園を見て周ってるの。案内してくれる人いなかったの。酷いと思わない?」
「そうですね、しかし私もこちらを先生に依頼してこなくてはいけないので協力できなくてすいません」
「いいの。始めは可哀想でなきゃ、お話しにならないわよね。ライバルさん」
「はい?ライバルって何が」
「元悪役令嬢の娘って普通。あっちが本命か」
とサリバン様達をライラ様は見た。
「何の事で…」
私は、頭が痛くなって、壁にもたれる。
気づいくと目の前には誰もいない。ライラ様と何か話した気はするのに思い出せない。
頭の痛みは何だったんだろう。
先生に文化祭の説明をして、家に帰って来た。
翌日、文化祭の話し合いが行われたが、一年生はどのクラスも意見が出てない。そこに、ライラ様がクッキー屋をやりたいと言う。
おっと、それは…、お父様の時も自称ヒロインの伯爵令嬢や子爵令嬢のミイナさんのお母様達がやったというクッキー屋。これは、匂う。今日間違いなく報告をしなければ。
昨日、彼女と会ったのかさえあやふやで、それを含めてお父様に言おう。
そんなことを考えていたら、フリップ王子が手を叩いた。
「いいね。積極的に意見を出すのは生徒会としても嬉しいよ」
と言えば、あまりいないAクラスの生徒達も意見を出した。
クッキー屋
展示
合唱
案が上がった事に満足気なフリップ王子にライラ様は、
「嬉しいです。転入生なので馴染めず、困っていました。フリップ王子様、とても優しいですね」
と言えば、私のアンテナにビシビシとこの娘やばいのではと引っかかる。
「昨日も早く学園に馴染みたくて学園を見て周ったのですが迷子になってしまって困ってしまいました」
と言うと教室がシーンとした。
フリップ王子が
「わか…」
と言ったところでサリバン様が
「では、カトロ侯爵令嬢、私が案内しましょう。クリスティーナ嬢もいかがですか?」
と聞いた。クリスティーナ嬢は、少し掠れた声で
「私は結構です」
と言った。
こうして、一年生の意見は出て、私は生徒会に出した。話し合いの結果クッキー屋になった。
夕食を食べ終え、お父様に時間をとってもらった。
「お父様、文化祭にクッキー屋をやりたいと言った令嬢がいます。ライラ・カトロ様、今学期からの転入生です」
「凄いね、ベタだね。カトロ侯爵と養子縁組したという妾の子。確か平民。怪しかったかい?ルイーゼ」
「はい、自称ヒロインぼくフリップ王子様に学園案内を頼んでいたら、サリバン様が案内されます。そして気になる事が、私昨日廊下でライラ様と会ったような気がするのに、会話も覚えてなくて会ったかどうかもあやふやなんです」
というとお父様は、あごを擦って
「魔法かい?」
「わかりません。記憶がなくなる魔法って」
「わからないが記憶操作」
「やってない事も私が、やった事にされたら大変ですね」
というとお父様は考えこんでいた。
「何か起こるとしたら何だろう?」
とお父様は言った。それは私にもわからないが、
「ライラ様に意地悪をする人が出てくるとか」
「サラサもルイーゼもいいがかりをつけられたね。気をつけるんだよ。学園には王子が二人いる。ゲームの力を感じたら休んでいいんだ。生徒会とか関係ない」
「はい、お父様、いつもありがとうございます」
と言い部屋を出た。
自分の部屋に着くと、リマがお茶を入れてくれる。とても美味しい。私の柔らかくする魔法は、意識や記憶系の精神魔法には何の役にも立たない。
「どうしようかなぁ」
と言っていると本の栞にしているバードの羽が、目に入った。
「バード、今日も優雅に旋回しているかな。飼い主さん、王宮にいたのは貴族なのかなぁ」
と真っ暗な空に星がこれでもかというぐらい煌めいていた。
翌朝、学園に着くと、後ろの方な席で、クッキー屋をやることが既に伝わっていた。レイラ様が言っていた情報は武器だと実感する。
「おはようございます」
言ったところで返ってこない。
廊下から賑やかな声がするフリップ王子様とサリバン様の団体とライラ様がいた。
ライラ様が大きな声で
「おはよう、みんな」
と言った。びっくりした。あんな大きな声で言うなんて、言った後に舌を出して、ごめんなさいと言った。
フリップ王子やサリバン様が
「ライラ嬢は、元気だなぁ」
と言って笑ってる。別にいいんだけど、何か面白くない。平常心と言い聞かせる。家から持って来たバードの羽を撫で落ちついてくる。
クッキー屋をやることが発表される。メンバーは、自由参加とした。
生徒会室に行くと、二年生メンバーが、
「良かったよ、一年生も参加してくれて、二年生もやるかと参加クラスが出たし」
やはり人を集めるというのは大変だ。
苦笑いしていると、フリップ王子様がレガシー王子様と側近の方を連れてきた。
「今日から生徒会の仲間として一緒に参加してくれる」
「レガシー・デマルシアだ。よろしくお願いします」
と言いながら頭を下げた。そして従者の方も、
「フランツ・シャクムルです」
と言った。レガシー王子様の中性的な顔立ちは、美しい。ナタリア王女のお姉様と言っても通用しそうだ。ただ、どこかで見たことがあるような。
「案内をします」
とフリップ王子が言ってサリバン様とフランツ様が、お供をする形で説明している。
私は、私の仕事。上級生に聞きながら、段取りを真似すれば、帰宅の時間だ。
「今日も忙しかった」
と特に何もなかったことに感謝して、すぐに寝ることができた。
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