第6話 悪役令嬢は作られる
そして本当に穏やかな日は一日だけ、王子様達、王女様達が来てミリナさんが来れば、ヒートアップした休み時間になり、あっと言う間にに来週からテスト期間に入った。その頃には廊下や下駄箱、庭園でミリナさんが泣いていると話題になって、虐めの犯人としてナタリア王女御一行が上がっていた。
テスト期間は、さすがにミリナさんも側近の騎士に止められていたのか、教室には入って来なかったが、試験終了とともに、ゴングが鳴ったのではないかと疑いたくなる甲高い声、
「ルイーゼ様酷いです。他所のクラスがAクラスに来てはいけない決まりなんてありませんよね。差別みたいなことをして楽しいですか?」
と突然言われた。
明らかに不意打ちだ。
そして、訳わからないのが、ナタリア王女達だ。
何故か煽り始めた。
「前にも言ってらしたわよね。うるさくされて迷惑だと」
「差別はいけないよ、身分は大事だけど、ここは学ぶ場所。平等だと思うよ」
とフリップ王子の側近が言った。
「そんなこと言った覚えありません」
と言うと、ミリナさんが泣きながら、
「ルイーゼ様が言っていると皆様がおっしゃているのに、とぼける気ですか?」
と言う。周りが沈黙に包まれる。
これは何?
何故こんなことになっているの?
「私何も言ってません」
と言うと
「酷い」
とミリナさんは泣く。事態が突然動き始めた。
これが、ゲームなのか、お父様が言っていたイベントの合図は、試験終了の鐘だったのか、など思い返していると、サリバン様が、
「別室で事情を聞こう」
と言い、私は、騎士に連れて行かれる。
教室は、ざわざわしている。下を向いていた為、誰の顔も見ていないけどみんな私を笑っているように感じる。
何?何が起こったの?
突然始まった。よくわからない芝居の中に突然入れられた気分だ。
お母様がやられたって言う悪役令嬢に仕立てられたのかしら?
考えも何もあったものじゃない。
教室に入ると椅子に座らされ、サリバン様に聞かれた。
「突然、責められてどう思った?」
「は?」
「言った言わないなんて証拠にもならないし、このまま帰るけど、気をつけた方がいいよ」
「待ってください。私本当に何も言ってないですから、勝手に名前を挙げられて驚いているんです。気をつけろってどう言う意味ですか?」
「普通にそのまま」
首を傾げると、ふーんと言いなんとも言えない表情をする。
とにかく帰ろう。お父様に伝えなければいけない。わからないが悪役令嬢にされかけている。
ついてない時は重なるもので、フリップ王子様と赤髪の側近マーク様、騎士団長の令息カリバ様に会う。
「もう事情聴取は終わり?」
とマーク様に聞かれ、
「はい」
と答える。カリバ様は、
「以前とまとわりつく気が違うな。前はもっと暗かった」
「何それ」
とマーク様は笑う。馬鹿にされていると感じても顔はあげない。早く帰りたくて仕方がない。すると
「何故こちらを見ないのか」
とフリップ王子が聞く。これは、と思ったが顔を上げるしかない。
目が赤い
そして私は意識がなくなった。
「ウッ」
埃と甘い香と排水溝の匂いを混ぜたような空気が、気持ちが悪い。
破れているソファーに寝かされて、手と足が縛られ、口にも布が巻かれている。足が痺れているようで感覚が鈍い。
ここはどこ?
この気持ち悪い匂い、何?
横を見ると檻のようなものに何か黒い生き物?
それが排水溝の匂いの元?
どこかに連れ去られた。フリップ王子様達が何の為に疑問と共に怒りもわく。
少し冷静になって来ると、足音と木の軋む音が扉の向こうから聞こえてきた。
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