第二章 初陣
第18話 急報
無事オグレス星に戻り昼食を終えた俺たちはミーティングルームに集まっていた。
フィロさんを待つ間、俺はUFO内での出来事を思い返す。
***
「将人、ちょっといいか?」
「あー? なんだよ」
「これ、春樹から」
俺は将人にミサンガを渡す。
「ミサンガ? なんでだよ春樹のやつ、そんな仲良くもなかったのに、俺今別の付けてるからいらねーし」
「それ遥香ちゃんからだってさ」
「え!?!? 遥香!? マネージャーの!?
なんだよ、それなら付けてやらんこともないけどさぁ。遥香のやつ、俺が宇宙に行くからって寂しがりやがってー」
相変わらず分かりやすいやつだな。贔屓目に見ても将人の片思いなのに。まあこれでモチベーションが上がるならいい事だ。
それに将人のこんな笑った顔久しぶりに見たな。
いや、それだけじゃない。みんなの顔を見回すとかなり晴れ晴れとした顔になっている。
家族や友人に会えたこと、そしてトールさんの言葉がいい影響を及ぼしたみたいだな。未来もお守りを貰って喜んでいた。
これなら大丈夫。そう思わせてくれる雰囲気があった。
***
「はーいみんな集まってるかしらー?」
フィロさんの声で現実に戻る。
ここからが本番。キャプテンとして全力を尽くすのみ……!
「それではミーティングを始めます!
今日の内容は、ズバリ大会のルール説明。
みんなはサッカーをする! ってことしか知らないだろうから今から細かく説明していくわよ!」
「そもそも大会に正式名称とか無いのー? 大会大会ってなんか盛り上がらないなー」
ペペからいきなり質問が入る。重要では無いが言われてみたら気になるところだ。
「ええ、まずはそこからね。この大会の正式名称は"グローリー・リーグ"。ゼラ曰く、試合に勝利し、星の生存という栄光を手にする大会という意味が込められているらしいわ。
……うんうん、わかってる。自分たちから仕掛けてきたくせになんだこの上から目線は、ってやつよね。うん、私も同じ気持ちよ。でもここでイライラしてたら持たないから一旦落ち着いて」
栄光を手にするか、確かにどの立場からの言葉だよとは思うな。しかしそれ以上に、何か少しだけ引っかかるところが……気のせいか……?
「大会名に関しては大丈夫かしら? 大会のルール説明に移るわよ?
まずは試合のルール! これは地球のルールと同じ、スタンダードなものね。
次に試合会場。前提として宇宙には様々な星があって様々な生物がいる、その全てに平等に、なんて不可能だってことは頭に置いておいて。
その上で今回のルール、試合会場は全てコイントスで決めます! 試合の前々日に監督同士が会ってコイントス、勝った方の星の会場で試合をするの。シンプルでしょ?」
「もしかしてさー、星によっては試合すら困難な会場だったりするー?」
「ペペくんいい質問! というわけで次は参加チームについて話すわよ!
今回参加する星は"サッカーができる民が住む星"に限られるの! つまり足がなかったり小さすぎる住民しかいない星はそもそも参加できないってことね。
とはいえ普通に発展してる星はオグレス星人や地球人のような人型が大半だから、ゼラの大会開催の目的が戦力増強ならこの条件でも特に問題はないわ。
あとは非適応星人が住めない星も参加してないの。平均気温が50℃の灼熱の星や陸がない海の星などがこれに該当するわね。
まあこれもこういう星はそこまで発展してないケースが多いからゼラ的には参加しなくても問題ないってわけ」
「つまりどちらの星が会場に選ばれても最低限試合はできるって認識であっていますか?」
「アランくん大正解! そういうこと! だからコイントスの結果によってそもそも試合すらまともにできないってことは無いから安心して。
ただし試合はできると判断されたからといってオグレスや地球みたいなオーソドックスな環境で試合ができるとは限らないわ。
会場によってはかなり不利になる場合もあるからコイントスは重要ね」
「ほっほ、とはいえコイントスは運じゃ。
こればっかりは神に祈るしかないのう」
なるほど、オグレス星の選手がロボットだったように、選手にだけ気をつければいいって思っていたがそういうわけでもないのか。
会場の時点で苦戦を強いられる場合もあるとは……厄介だな。
それにしてもフィロさん、今日はいつもより早口のような、気のせいか……?
「次は大会の流れについて説明するわよ!
まず、予選は5チームでの総当たり戦。ポイントは勝ちが3点、引き分けが1点、負けが0点。同点の場合は得失点差により順位を決める、とまあよくある形式ね。勝った1チームが本戦へと進むことになるわ。
本戦の試合形式はトーナメント戦、前も言った通り優勝したチームがゼラと戦うって流れね。
ここまでがルール説明になるけど大丈夫かしら?」
大体のことは理解できた。
予選は総当たり戦とはいえ本戦に進めるのは1チームだけ、基本的にはどの試合も勝つことが前提だな。
ここで俺は1つ質問をする。
「総当たり戦の他の4チームがどんなチームかはわかっているんですか?」
「ええそうよ! だけどその話は一旦置いといてもらえる?
今から話すのは1試合目について。
試合日程は……」
「明明後日です!!!」
「「「……え?」」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます