星団最強なのに回りくどい奴の物語、閉話集。

耀聖(ようせい)

第1話 閉話、もしあの時アーレイがロベルタに手を出していたら。

<<あらすじ>>


星団統一を果たした英雄アーレイは側室の1人ジョリアーナの故郷ガルーダ星に向かった。その惑星は以前、単身アーレイが飛ばされデルタに帰還する為に駆けずり回り、その際に知り合ったガルーダ国の影の頭、ロベルタ嬢と一晩過ごしていた・・。


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<<クーン城・客間>>


星団統一後、2年の月日が経ちある日の休日、アーナは順番で巡ってくるこの日を迎えとあることを提案する。


「アーレイ様、今日はガルーダに行きたいです!」

「良いよ、久しぶりだから陛下の所行くの?」

「いえ、フィーに聞いたのですが断崖絶壁で絶景の岬があるって聞いてそこに行きたいです」


フィリーサの気持ちがアーレイに傾き始めている頃に降り立った岬には格別な思いがあるのだろう。その絶景を思い出しては何度もアーナに語っていたようだ。


<<惑星ガルーダ>>


<お久しぶりですアーレイ様、少しお時間をいただけますか?>


そして去年完成していた大きな転送ゲートから出てくるべクスター。そのまま空港の有る神の領域の降り入国審査を受けているとリゲルから連絡が入った。黙って入国したのだがバレていたようだ。


「久しぶりだなリゲル、それじゃあのラウンジで待ってるよ」

<上のVIPラウンジに来てください>


星団統一後、新生ガルーダ合衆国としてスタートして早2年、しかしアーレイはクーンとデルタの2重生活の為忙しくあの時以来訪問してなかった。以前、フィーと一緒に来たときのラウンジはまだあったが空港は大幅改装されあの時の面影は無くなっていた。


「よう、元気にしてたか?リゲル」

「はい、現在新しい大統領の命令が下り街の発展に注力しております、ですが問題が少々ありまして」


リゲルは今後永続的に働くことを望まれているのだが、消耗品のストックが数十年分しか残ってなかったのだ。新規に作るとなると莫大な費用が掛かり、最新アンドロイドに置き換えるにしてもプログラム特性が違い過ぎ簡単にコンバート出来ない。そこで持ち上がったのが魔道具を使いクローン体を利用しその問題を解決しようとしていたが元となるDNAがリゲルには無いのだ・・。


「もしかしなくても俺のDNAが欲しいって事なのかな?適当に使って構わないよ」

「相変わらず軽いですね」

「早いと言ってくれ、無断で俺のコピーを増やすなよ!」

「勿論ですとも、英雄アーレイ様のDNAさえ頂ければよいのです」


まぁ、相変わらず軽い決断で決り、同意書にサインをし手続きが済むとある疑問が浮かび上がった。


「なんで生体を選んだ?魔道具を使えば最新アンドロイドにも移行できただろ」

「アーレイ様の活躍を観察していますと、人と言うか女性に興味が湧きました」

「・・・(それって絶対週刊誌の記事だな」


ここ2年、星団の英雄アーレイに関し話題が途切れることが無く、ディスティアに出向き演説すればこれは国の新たな指針だと言われ、パーティーを開けば美しい奥様が話題となり、繋がりを求めこれまた美麗な女性が常に付きまといネタが尽きることが無いのだ。リゲルは週刊誌などからアーレイの情報を得たのだろう。


「そうか適当にやってくれ、けど髪の毛の色は変えろよ黒色は碌なことが無いそれは保証する!」

「有難うございます、今日はどちらに行かれますか?」

「南にあるフィヨルドの所だよ、変わってないよね」

「はい、バウンデ王国もガルーダ王国も通信網の整備が終わり、運搬用のシャトルが増えた程度です」

「分かった、それじゃ」


アーレイはリゲルと別れベクスターに乗り込み岬に向かった。そしてフィーと来た同じ場所に着陸、一歩外に踏み出るとそこは以前と変わらない絶景が広がっていた。


「うわぁアーレイ様、本当に絶景ですね!来て良かったです」

「そうだねあの時と全く変わっていないよ、俺はちょっくら魚を調達してくるよ」

「期待していますよ旦那様!キャ!」


ボヨンボヨンとアレを揺らし嬉しいを表現するアーナに見送られ、釣り好きのアーレイは岬の下の海岸に出ると早速ルアーを投げ巻きすぐに良型のスズキがヒットする。そして大きく竿がしなり釣り上がってきたのは65センチほどの食べごろサイズだ。その後、釣れた魚を捌き岬の先端で優雅な食事を楽しむ二人。


「うーん最高です。それではアーンして下さいませ!アーレイ様!!」


甘い昼食も終わりせっかく来たのだからと王宮に向かい中庭に着陸すると慌てて執事が飛び出しアーナを見つけると涙目になり駆け寄って来た。


「お嬢様ー!お久しゅございます~」

「元気にしていましたか、陛下と女王はいらっしゃいますか」

「いえ、お二人とも政務のためバウンデに赴いています。お戻りは明日になります」

「そうですか・・」


そんな平和なやりとりをしているとロベルタが小さな子供を連れ一緒に歩いて来た。


「アーナ突然現れてビックリしちゃったわよ」

「お母様、お久しぶりです」

「ほらアーナお姉さんよフローラ」

「アーニャ?」


フローラは指を咥えてアーナを見るとニコニコしていた。手紙で生まれたのは知っていたのだがまさかその髪の毛の色が・・・。


「アーレイくん、久しぶりね」

「ああ、ロベルタ久しぶり」


フェアリー「あのー、子供の髪の毛の色が”黒”なんですけどー」

「知ってる、気が付かないフリしている」

「無駄ですよ、無駄!」

「ですよねー」


一瞬、黒髪を見たアーレイは即座に誰の子供か理解していた。だがそ知らぬふりをする。無駄だろうけど・・。


「それにしても可愛い子供だね〜(汗」

「そりゃ勿論可愛いわよ。陛下もべったりで愛してますのよ~(棒」


一目見てわかってるよねアーレイ君と言わんばかりに棒読みのロベルタ・・。


「そうか、歳が離れると可愛さが倍増するからな、甘やかすなよどこかのエルフみたいになるから」

「あははそうね、㊙︎報告書読んだわよ欲ってすごいね。アーナ、この子を遊ばせて上げて」

「はい、それではお花摘み行きましょう!」


アーナも髪の毛の色を見て気が付いていたがフローラを連れて庭に向かって行く。そして2人になったロベルタはアーレイを見つめ寂しそうな表情をするのだった。


「ねえアーレイ、もう気が付いているのでしょ」

「陛下は気が付いているのか」


流石に痺れを切らしてロベルタが切り出してきた、しかし彼女はアーレイの子供だと認知してくれとは言わなかった。単純に知って欲しいようだ。


「ええ流石に黒髪は気がつくわよ、けど気にしないって逆にずっと相手しなくてごめんて謝って来たわ多分女王に怒られたと思うのよ、最近は夜来るのよ変よね今まで避けていたくせにこれもアーレイくんのお陰かな」


生まれたばかりの子供の髪の毛の色を見た女王は即座に全てを理解したらしい。そしてロベルタを擁護する側にまわった。流石女性陣の結束は固い。


「そうか・・君に迷惑がかかったね」

「嗚呼、あなたに抱きしめてほしいわ、けど流石にそれは無理ね」


一晩とは言え肌を重ねたアーレイの事を心底愛しているのかロベルタは急に悲しい表情に変わる。


「わかった、クーンに来たら時間作るよ。ロベルタ、産んでくれてありがとう」

「本当?本気にしちゃうよ」

「いいよ、おいで」


既に両手で数えるくらいの嫁に囲まれている今のアーレイの懐は深い。腕を広げロベルタを迎える仕草をとるとポフンと頭を胸に当てた。


「ウヒィ、ヒック、バカ、うう、バカ、アーレイのバカ」

「辛かったんだねロベルタ、ごめんね手助けできなくて」

「・・・うん」


「ロベルタ様をスキャンしました。大動脈瘤ができています。放置は命取りかと」

「分かった。けど、神の領域には連れて行けないな」

「アーレイ、我の力をつかえ遠慮するな、だが直接触れないと治せんぞ」

「ブラッド・・・分かったよ、ありがとう」


ロベルタとのやり取りを見てブラッドが顔を出す。感情的に心揺さぶられたのかは知らないが役に立ちたい気持ちが湧きあがったようだ。


「ロベルタ、君の体の中に悪い所がある」

「ええ?」

「アーナ、来てくれ」

「・・・・はい」


アーレイはロベルタのスキャンデーターを渡し、大動脈瘤ができている事を知らせブラッドの力を使い治療することを決めた。そして子供が昼寝に入るタイミングで3人はベクスターの中に入る。


<<リビングモードのベクスター内>>


「これが空を飛ぶのね、信じられないわ」

「それじゃ上半身裸になってくれるかな」

「え〜、アーレイ様!そ、それは」


多分違う方向を期待しているのか本気で心配しているのか少し掴めないが、気にせずロベルタは服を脱ぎ始めベッドに横たわりその時を待っている。


「アーナ、君が恥ずかしがってどうする」

「ねえ、アーレイ興奮する?」

「しねーよ」

「あら、残念だわ」


恥ずかしくてイヤンイヤンしてるアーナを無視して先に進み、ブラッドが現れると何故かロベルタが食いついてくる。


「我がブラッドだ!」

「あらいい男ね、アーレイちゃんと紹介してよ」

「おい、何故そこで食いつく!」


ジト目で見ていたブラッドは全く気にせず治療を開始!手を胸の真ん中に置くと手先が光り出すとその5本の光が胸の中に吸い込まれ僅か数秒で終わった。


「終わったぞアーレイ!」


フェアリー)「綺麗に直っています」


「ありがとうブラッド、どうだった痛みはないか?もう大丈夫だぞ」

「そう、実感がないから良くわからないけどありがとう」

「お母様、私も確認しました綺麗に治っています」

「それじゃもう戻らないとね、アーナまたいらっしゃい」

「はいお母様、直接お部屋に送ります」


別れの挨拶の時にアーレイが軽くロベルタを抱擁すると、途端に涙が溢れギュッと力強く抱きしめ返され、アーレイありがとう、その一言を呟くと嗚咽が漏れ出てしばらく抱きしめられたままだった。


「またねロベルタ」

「うん」


彼女はとても名残惜しそうな顔をしていたが、コクリと頷くとそのタイミングでシュンっと一瞬で転送していなくなったロベルタ。


「さて、市場でも寄って帰ろうか」

「アーレイ様!!さて?じゃないでしょ!もう!だって、あの黒髪の子供って!それと別れる時の顔は女になってたわ!」


2人になるまで我慢していたのだろう、温和なアーナが少し怒り口調だった・・。


「みんな言わないけど、彼女苦しいんだろうな相当我慢しているはずだ」

「そうですよね・・・」

「アーナ、側室だって後から知ったんだからね!」

「お母さんと私、2人ともアーレイの毒牙に・・・」

「おい、人聞きの悪いこと言うな!」


フェアリー「事実でーす!」

「なーんも言えんわ~」


終わり。


この閉話は執筆当初に設定していたのですが、途中でアーレイの嫁が増え収拾がつかなくなりボツにした話です。

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