第23章ー少年と隊長ー13

「 違う、そうじゃない! もっと強くだ!」


「え、そうなの? じゃあ、こうかしら……?」


 リーナは彼に叱られると今度は少し強めに頭を叩いた。コツンと叩くとハルバートは再び彼女を叱ってきた。


「もっと強くだリーナ! もっと強く、叩いて欲しいんだ!」


「だ、だめよ! そんな強く叩いたら後で怪我するわ……!」


「頼む一発、俺の頭にぶちかましてくれ!」


「で、出来ないわ……!!」


「お前なら出来る!」


「いやっ!!」


「激しいのが『好き』なお前なら分かるだろ、俺の気持ちがっ!!」


「だ、だめよハルバート…! こんな昼間から2人でSMみたいなことをするなんて、いけないわよ……!」


「じゃあ、夜ならしてもいいのか?」


 そう言ってキリッと男前の顔で言った。彼は嫌がる彼女を奮い立たせると、リーナは持っているフライパンでハルバートの頭を強く叩いた。


「ご、ごめんなさい……!!」


 その瞬間、彼の頭上にフライパンが強打で振り下ろされた。思いっきりガツンと叩かれると、頭がくらっとなった。そして、ガクンと床に膝をつき。ハルバートはフライパンの攻撃に痛みに、ワナワナしながら口を押さえて堪えた。リーナはフライパンを両手に持ったまま、心配そうに彼に尋ねた。


「ねぇ、大丈夫? 痛かった……?」


「ッ…! ああ、ちょっとな……。でも大丈夫だ。すまんが肩を貸してくれ…――」


「ええ、いいわよ」


 リーナが肩を貸すとハルバートは床から立ち上がって椅子があるテーブルの方へと移動した。その場で座ると彼は一言礼を言った。


「助かったぜリーナ。お前のおかげで一気に酔いが冷めた。危うくあっち側に行く所だった……」


「あっち側って?」


 彼女はそこでキョトンとした表情で尋ねた。


「いや、何でもないさ。俺はツルペタじゃなくボイン派だから安心しろ」


「ねぇ、ハルバート。それって一体、どういう意味かしら?」


彼が意味不明な事を呟くとリーナはフライパンをテーブルに置いて彼の頭を手で優しく撫でた。


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