第23章ー少年と隊長ー10

「フン。やれやれだ。つくづく無責任な男だ。お前と言う奴は聞いて呆れる。キスしたのに責任をとらないつもりか?」


『ク、クロビス……!?』


「貴様、人工呼吸がキスに入らないってお前は何を言っているんだ。それでも男か? 言いわけが見苦しいぞ」


 学級委長のクロ子は眼鏡の奥を光らせながら彼に厳しく言い放った。


「ああ、確かに言い訳はよくない。学級委長の言うとおりだ」


  学級委長の横でマドンナのリオ子が、ヤジを飛ばした。


「そうね。男なら責任をとらなくちゃ。女の子の大事なファーストキスを奪ったのに、そんな言い訳はよくないわよ」


 2人が説教をすると、ハルの彼女のリナ子が横から口を挟んで意見を言った。彼女達は冷ややかな目で言い寄られた。


「キス逃げはよくない。あれは女の敵だな」


「ああ、よくないだろう。それもファーストキスだ。無責任にも程があるぞ」


「ええ、そうね。敵よ、敵! 女の敵!」


3人は女子トークをすると彼を批難した。ユン子は彼を下に押し倒すと大胆に迫った。


「お願いしますハル先輩、僕のファーストキスの責任とって下さい!」


『なっ!?』


「僕はクロ子先輩みたいに小悪魔じゃないし、マドンナのリオ子先輩みたいに美人じゃないし、エロくて大人の魅力があるリナ子先輩には負けるけど、僕だって本気になればハル先輩を骨抜きにするくらいできるんですから……!」


「ユン子……!」


「ハル先輩、ユン子の彼氏になって下さい! こっ、これでお願いします…――!」


彼女はそう言って彼の前で、健気に制服の上着を上にあげて、ツルペタの小さな胸を見せた。


 『ブッ! お前なんて格好を……!?』


 泣きながら自分のツルペタの胸を見せると、彼はそこで鼻血が出そうになった。か弱く健気に恥じらう姿がなんとも可愛いらしく感じた。ユン子の誘惑に彼は戸惑った。


「今日は水玉模様の下着にしたんですけどぉ、ハル先輩は水玉のブラとパンツは好きですか?」


「おっ、俺を誘惑するんじゃねーよ……!」


「ハル先輩。僕の初めての人になって下さい! ツルペタだけど一生懸命頑張ります!」


「だっ、だからそう言うことをだな……!!」


「僕はハル先輩の彼女になりたいんです! だ、だからハル先輩……!」


「お前、俺をそっち側に引き込むつもりか!? お、俺は…――!」


「やだ、ハル先輩ったらもうこんなになってる。可愛い♡」


『や、やめろぉおおおおおおおおおっつ!!』


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