第23章ー少年と隊長ー7

「何だよチビ。見てたのか?」


「ええ、見てました! それも一部始終、全部見てました! 竜にお酒を与えるなんてどうかしてますよ!?」


「あ~? なんだとテメー、俺のやり方にケチつける気か坊主?」


 ハルバートは酔っ払った口調で言い返した。


「そんな餌を与えたらヴァジュラが可哀想じゃないですか! あとでお腹をこわしたらどうするんですか!?」


「うるさいなぁ。こいつはお酒が好きなんだ。なあ、ヴァジュラ?」


 そう言って酔っ払った口調でヴァジュラに話しかけた。竜は藁の上に倒れたまま、長い首をヒャックリさせていた。ほろ酔いしたのか、ヘベレケになりながら、カラッポになったタルを舌で名残惜しそうにチロチロと舐めていた。


「良くないですよ、こんな赤っ鼻のトナカイになるまでお酒を飲ませて! とにかく今すぐお酒を飲ますのをやめて下さい!」


『な、なんだと~っ!?』


 ハルバートはキレると、彼の胸ぐらをガシッと掴んだ。鋭い目で睨まれると、ユングは負けじと目を反らさずに立ち向かった。彼は睨みながら舌打ちすると、掴みかかった手をパッと離した。


「ケッ、チビガキの癖に生意気だぜ。この俺に文句をつけてくるなんて良い度胸してやがる」


 そう言って話すと不意にあることを呟いた。


「あーあ。こんな生意気なガキだったら、あの時助けるんじゃなかったな。俺が人工呼吸してなかったらテメェは今頃とっくに死んでたんだぞ。助けてやったのに感謝の言葉もナシかよ。ケッ、生意気な奴だぜ」



彼は一言そう話すと不機嫌な顔で舌打ちした。ユングはその何気ない言葉に急に表情を変えた。

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