第23章ー少年と隊長ー6
ハルバート隊長はともかく。まさかヴァジュラまで、あんなことをするなんて……!
どうしよう。余りにも凄い光景を見たから、出るにも出られない…!
ユングは完全に声をかけるタイミングをなくした。ハルバートはお酒に酔いながらヴァジュラと楽しそうに話していた。
「よーし、よく飲んだ! それでこそ、俺様の相棒だ! どうだ。まだ飲み足りないだろ?」
そう言って彼が話しかけるとヴァジュラは首を頷かせた。お酒が気に入ったのか竜はカラッポになったタルを舌でペロペロと器用に舐めていた。ハルバートは近くに置いてあったもう1つのタルに手を出した。
「まだまだあるぞ~。じゃあ、次はこれだ!」
ハルバートは新しい方のタルのフタを開けると、それをヴァジュラに飲ませた。ユングはそれを見ながら『あちゃ~っ』と呟くと頭を抱えた。ヴァジュラはお酒をガブ飲みしながら、上機嫌に尻尾を振っていた。お酒をいっぱい飲むと竜は口からゲップをした。
炎のような燃えかすの息を吐くと、白い煙が宙に舞った。ハルバートはそれを見るなり両手でお腹を抱えて笑っていた。ユングは離れたところから観察しながらただ呆れるばかりだった 。
「ん~、何だヴァジュラ。餌食べなかったのか? なら、粋な食べ方を教えてやる。この草をだな、こうやって浸して食うと美味いぞ」
なっ……!!
ハルバートは草をタルの中にサッと入れるとお酒に浸したのをヴァジュラに与えた。ユングはその光景に思わず衝撃が走った。ヴァジュラはお酒に浸した草をそのままパクパク食べた。そしてヘベレケになりながら、藁の上にコテッと倒れて酔っ払った。
「ダッハッハッハッ! なんだよ、ヴァジュラ。もう酔っ払ったのか? そうかそうか。そんなに美味かったかコレ」
彼はお酒に浸した草を竜に食べさせると豪快に笑った。ユングは一部始終を見届けると、そこでついに立ち上がって怒鳴った。
『何をやってるんですかハルバート隊長っ!!』
「あ?」
『竜にそんな餌、与えないで下さい!!』
そう言って怒鳴ると、ユングはそのまま彼に詰め寄って怒った。
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