第23章ー少年と隊長ー2
竜小屋に入るとヴァジュラとリューケリオンがいた。二匹の竜は、それぞれ向かい合った位置にいた。ユングは囲いの前でヴァジュラを下から見上げると圧倒された。ワイバーンよりもデカイ体格を目の前にゴクリと息を呑んだ。ヴァジュラは機嫌が悪いのか、ユングを上から見下ろすと興味なさげな態度で威嚇した。無愛想な態度をとると意を決して話しかけた。
「や、やっほ~。ヴァジュラ餌の時間だよ~? お昼だし、お腹空いてるだろ? 新鮮だから美味しいよ~?」
ユングはそう話すと竜が好きな食用の草をチラつかせた。大きな葉を左右に振って気を引いたがヴァジュラは鼻をフンと鳴らすと、まるっきり相手にしなかった。ふてぶてしい態度をとりながら餌を食べずに寝に入った。
「あ~っ!! ダメだよヴァジュラ、食べる前に寝ちゃ! 餌を食べてから寝なよ!」
ユングはそう言って話すと囲いの中に入ってヴァジュラに近づいた。
『も~! 寝ちゃだめだって~~っ!!』
寝ようとしているヴァジュラの尻尾を掴むと、引っ張って引き止めた。すると尻尾を横に振って、ペシッとあしらった。ユングはそのまま横に振られると、水が入った容器に頭から突っ込んで濡れた。
「プハッ! や、やったなぁ……!? こうなったら僕も負けないぞ!」
ユングはびしょ濡れになりながら立ち上がると再び龍に挑んだ。そのまま無視して、寝ようとするヴァジュラを何とか起こそうと尻尾を掴んで気を引いた。
「ぬぬぬっ……! 僕怒っちゃったもんね! こうなったら意地でも起こす…――!」
ユングはそう言ってヴァジュラの大きな尻尾にしがみつくと両手でガッチリと掴んだ。 すると、ヴァジュラが再び尻尾を横に振った。その弾みで再び水が入った容器に頭から突っ込んでびしょ濡れになった。それを10回くらい繰り返すとユングはついに力尽きた。
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