第23章ー少年と隊長ー1
――青い空には太陽が出ていた。ユングはその日、仕事は休みだったが、何となく竜小屋へと足を運んだ。小屋に近づくとカイトが扉の前でため息をついて踞っていた。ユングはそれとなく彼に声をかけた。
「カイトさんどうしたんですか?」
「ああ、お前か……」
「いや、ちょっと困ってるところだ……」
「カイトさん?」
ユングは首を傾げると隣に座り込んだ。
「突然で悪いが、お前に一つ頼みがある。頼んでもいいか?」
「ええ、べつにいいですけど……?」
カイトはその返事に安堵の表情を浮かべた。
「わるいがお前があいつらに、餌を食べさせてやってくれ!」
「え…?」
「いいから頼む…――!!」
「あの、あいつらって一体……?」
彼の話しに首を傾げると直ぐに尋ねた。するとカイトは小屋の前で指を指した。
「良いか、ここは隊長達の竜がいる小屋だ! ここに一匹、凶暴でむちゃくちゃ怖い竜がいる! 名前はヴァジュラ。めっちゃ気性が荒くて、取り扱い注意に指定されている大変危険な竜だ! 前こいつに餌をあげたら食われかけたんだ! 俺はそれ以来トラウマになっちまったんだ…――!」
「えっ、ホントですか……!?」
「他の竜は平気でも俺はこいつが大の苦手なんだよ。それに体格もデカイし、睨まれるとスゲー怖いんだ。だから頼む!」
カイトは必死な形相で話すと、手を合わせて頭を下げるなり頼み込んだ。彼のその話しに驚きながらもユングはその頼みを快く引き受けた。
「良いですよ。じゃあ、僕が餌をあげますね?」
「ありがとうユング。マジで助かる! じゃ、あとはよろしく頼む!」
ユングに餌やりを頼むと彼は他の仕事に取り掛かった。落ち込んだと思えば急に元気になる。そんな彼の自由奔放な性格に呆れたように笑うと小屋の中へと入った。
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