第22章ーセフィロトの兄弟ー18
隣で笑う彼を見て軽く舌打ちしながら話した。
「あ~そーだった。兄貴はそうやって俺のことをからかうのが昔から好きだよなぁ。チッ、なんかムカつく」
「なんだ。拗ねたのか? お前こそ中身が全然、成長してないじゃないか。図体だけデカくなっただけ、私に言わせればまだまだ子供だ」
「あのなぁ……! 兄貴、てめぇ調子に乗るな! 俺だってもう立派な大人なんだからな! なんか頭きた! 脇腹擽ってやる、覚悟しろ!」
『わっ……! こっ、コラ! や、やめろ……! やめないか、ガブリエル!』
「兄貴は昔から左の脇腹が弱かったよな。これでどーだ!」
そう言って彼の脇腹を無理やり擽ると、ラファエルは弟の前で必死に笑いを堪えた。そして今度は逆に擽り返した。
『ちょっ、たんま! 兄貴、羽根の下は擽るな! 兄貴、それ狡いぞ!』
「うるさい。お前の弱点くらいこの私が知らないとでも思ってるのか? ほら、お返しだ!」
そう言って彼の羽根の下を擽ると、ガブリエルは大声を出してケラケラと笑った。そこで兄弟は仲良くじゃれ合った。原っぱの絨毯の下で転げ回って擽り合うとそこで力尽きた。そして、2人は仰向けになって同じ空を見上げた。夕陽色に染まった大空は美しかった。高い空の上で三羽の鳥が羽ばたいて飛んでいるのが見えた。彼らは黙って鳥達の羽ばたいている姿を自分達に重ねた。
ラファエルは隣で不意に話した。
「お前、本当は兄さんに迎えに来て欲しかったんだろ?」
「……誰がだよ。ウリ兄ぃなんか知るか……!」
「プッ、やっぱり子供もだな。そうやって虚勢を張ってばっかりだと、本当に伝えたい思いも相手に伝わらなくなるぞ。もっと素直になるべきだ」
『うるせぇ、誰が虚勢を張ってるだ!! 兄貴に俺の気持ちがわかるか…――!』
そこで急に感情的になり、両手を地面について馬乗りになると、上から彼に文句を言い放った。自分の思いをぶつけるように言うと、ラファエルは悲しげな瞳でガブリエルの事を見た。その瞳に彼はハッとなると口を閉ざした。
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