第22章ーセフィロトの兄弟ー13
「どうしたんだい兄さん。私が話を聞くから落ち着いて…――」
「ッ……! ラファエルっ……!」
ウリエルは弟に抱きついたまま、小刻みに震えるとガブリエルの事を責めた。
「アイツが僕の体に触ってきたんだ! アイツが僕に…――!」
「え……?」
そう言って彼を責めると、ラファエルは思わずガブリエルの方を見た。その視線に顔を背けると、舌打ちをして言い返した。
「あーそうかい、悪かったな…――! じゃあ、次は兄貴が魘されてても絶対に起こしてやらないからな!」
「ガブリエル……!」
「くっ……!」
急に感情的になると、彼らに背中を向けて開いてる窓から翼を広げて飛び立った。
『兄貴のバカ野郎っつ!!』
そう言って一言言い放つと、ガブリエルは空に向かって羽ばたいて行った。その後を追うようにラファエルは窓辺から空を見上げた。
「っ、ガブリエル…――」
そこで彼は『羽根』があれば、弟の後を直ぐに追えるのにと、自分に翼か無いことを悔やんだ。そして、胸を痛めた。落ちてきた翼の羽根を掌で握ると兄を責めた。
「兄さん…――! どうしていつも、彼と上手くやれないんだ! 私はあの時、兄さんに『弟』のガブリエルとは仲良くして欲しいって頼んだはずなのに、何で仲良くなれないんだ! 彼は僕達の紛れもない弟なんだぞ!?」
「努力したさ! お前がアイツと仲良くしろって言うから僕は『仲良く』してやったのに……! 何故、お前に責められなきゃならない…――!』
「兄さん、本気で言ってるのか……?」
ラファエルは、兄の言葉に信じられない様子で佇んだ。ウリエルは彼の方に歩み寄ると足元に
「アイツは僕達の『兄弟』なんかじゃない……! あの姿を見ろ! あれで、どうやって僕達の兄弟と呼ぶんだ……!」
「兄さんっ!!」
「僕は絶対にあんな奴、認めないぞ! この世で唯一の繋がりを持つセフィロトの兄弟は僕とお前とミカエルだけだ…――! あんな醜い姿をした奴が、僕達の弟なはずが無いっ!!」
そう言って彼は、自分の弟であるガブリエルを酷く拒絶したのだった。ラファエルは2人の関係を深刻に受け止めると胸を痛めた。そして、自分達の前から消え去った弟に、切ない感情だけが胸をぎゅっと締めつけた。
「――兄さん、息が出来ないよ……」
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