番外編ー首斬り男ー(ギュータスside1)

  


――自分が誰かなんてわからないものだ。例えば両親。



 自分を生んで育ててくれた父と母。

 特別な繋がり。家族。



 俺にはそれが最初からなかった。



 だから名前なんてものはしらねえ。

 むしろ俺に本当に両親がいたかさえもら実感がない。


 

ただ言えるのは、俺は生まれて直ぐに両親に捨てられたって事実だ。そして俺は、くそみたいな奴に拾われて育てられた。


そいつの名前なんか思い出したくもねぇ。あいつは何かと俺をいつもコキつかいやがった。


 そして俺は、あいつの犬だった。


 捨てた両親を恨んでないと言ったら嘘になる。


 ああ、恨んでるさ。


 だからいつか2人に会ったら、この手で殺してやるとさえ思っていた。だけどさきに始末したのは俺を拾って育てたあいつだった。


 あいつは何かと機嫌が悪いと手をあげて俺を殴った。酒が入った時はもっと最悪だった。


 ガキだった俺は、そんなあいつに毎日ビビらされて、顔色ばかり伺っているような情けない奴だった。でも、あのジジイを殺した時はスカッとした。そして、自分の中に血に飢えた獣がいることがわかった。


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