第19章―温かいスープ―3
「おい異端児。お前のその髪の色と、目の色はなんだ? 私が気づいていないとでも思ったか? その髪の色と目の色が、お前の罰の証だ。呪われた子として蔑まれ、いみ嫌われる。お前にピッタリだと思わないか。恨むなら自分を産んだ母親と自分の運命を呪うんだな――」
意味深にそう言って話すと牢屋から出で鍵をかけた。少年はその言葉に唇を噛んで怒りに震えていた。少年をイビった後、クロビスは自分の牢屋の見回りを終えてフロアを出て行った。タルタロスの牢獄は不気味な静けさに包まれていた。長い廊下を歩きながら彼は一人で考え込んでいた。ケイバーは林檎を手の上で投げながら横で話しかけた。
「おい……」
「なんだ?」
「俺の気のせいならいいんだが、さっき何かおかしくなかったか?」
「何がだ?」
「あのガキだよ。あの部屋で何か別の気配を感じた気がする…――」
「気配?」
「ああ、あいつしかいなかったが。何か別の気配を感じたんだ。それも不気味な魔力を一瞬感じた。あれは一体、何だ?」
「さあな。お前の気のせいだろ?」
クロビスは彼にそう言って答えると鼻で笑った。
「まあ、確かにあのガキは不気味だ。さすが、いみ嫌われてる異端児なだけにある」
「異端児ねぇ……」
ケイバーは林檎を噛るとその話しに興味をもった。
「なあ、ちょっと聞いていいか。あのガキは一体、何者だ? 前から気にはなっていたが、この際だから聞いとく」
「フン。誰がお前みたいな奴に答えるか。知りたければ、自分で調べろ」
「まあまあ、そんなお堅い事を言わずに教えてくれよ?」
「口説い!」
クロビスは不機嫌な顔で軽くあしらった。するとケイバーは彼を壁際に押した。壁に手をつくと行く手を阻んだ。
「けちらずに教えろよ、お酒で色々と話し合った仲じゃないか。今更隠しごとはないだろ?」
「――黙れ。誰がお前みたいな奴と酒を一緒に飲むか。私に馴れ馴れしくすると痛い目みるぞ?」
クロビスは彼に言い返すと警棒を目の前に向けて威嚇した。
「ははっ。何だよ。愛想ないな。お酒を飲んでる時のお前の方が可愛いかったぜ?」
「貴様、今なんて言った?」
「さーなぁ。お前の気のせいじゃないのか? 忘れてるんじゃ仕方ないよな。でも、俺は楽しかったぜ?」
ケイバーはそう言って彼の長い髪に指先で触れると、傍から離れて何処かへと消えた行った。クロビスはそこで舌打ちをすると不機嫌な顔で自分の部屋へと戻った。
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