現実主義の後輩作家〜じゃあなんで小説なんか書いてんの?〜
白音(しらおと)
プロローグ いつかされるはずの
「一度しか言わないからよく聞いてください? 難聴主人公」
「僕が
「……じゃあもっと私の話した通りに動いてくれないですかね」
「それは叶えられないお願いだね」
いきなり人を難聴主人公呼ばわりしてきた後輩を適当にあしらって、今の状況をぼんやりと再確認。
放課後の部室で、隣に座って本を読む。それも、クソ生意気で意見が全く合わない後輩と。今ではだいぶ慣れてきて、軽口を叩けるぐらいの関係にはなったけど、最初なんかお互いなんでこんなやつと、って感じだった。
っとまぁこんな話はどうでもいいのよ。今大事なのはこの後輩が何を言うのかってこと。
「で、一度しか言わないって何を?」
「……たった今言う気がなくなったって話しますか?」
「いやしない」
間を入れずに返すと、悠乃は大きなため息をついて、諦めたように首を振る。
「なんでこんなやつを……」
「ちょいちょいちょい、先輩にそんな口の利き方は──」
「うるさいです。黙って」
女子特有の甘い匂い。そして、いつもより近い整った顔、唇に感じる柔らかいなにか。
数えたらほんの数秒だったであろう長い時間が経って、ゆっくりとそれが離れていって、目と目が合う。
「……認めたくなんてありませんが、貴方が、好きです。一生、そばにいて欲しいと思えるほどに」
「────」
──これは、僕、
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6時にもう1話、これより長い話が投稿されます
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