第9話 始まり

それから時は流れ…


わたし。エルピス・クラトラス

10歳になりました。


おそらく次にクリエルに戻されるまで5ヶ月くらいかな。(また気絶させられるんだろうな〜)


そして、10歳になったわたしは行かなくてはならない場所がある。


魔法学校だ!


魔法。学校。学校だけ聞くと嫌な気分になるが、なんたって魔法だ!魔法を本格的に学べる。

クレイスに魔法を学んではいたが、どうやらそれより詳しく実戦的に魔法を知れるらしい。


10歳になると学校に通わせることはこの世界では普通のことらしい。遅いと思ったが、普通の教育は5歳から家庭教師か学校で習わせ、10歳になると全員魔法学校か騎士学校に通わせるのがこの世界の常識だ。


ピスティス「お嬢様〜。これはここに入れても大丈夫ですか?」


そういうことで今は魔法へ行くための準備をしている。


エルピス「いいよ。それ壊れやすいからうまく固定しといて」


魔法学校はアウラー王国の王都シュンフォニアにあり、ここから馬車で5日ほど離れた場所だ。



都市シュンフォニアには一人で行くわけではなく付き添いにピスティスが来る。

両親の事だから一緒にシュンフォニアに引っ越すと思ったが、一切その話はなかった。


────

──


次の日


いよいよ今日王都シュンフォニアへ向かう。


イロアス「エルピス気を付けてな」


エテレ「い゛がない゛でー」


母が今まで見たことのないひどい泣き方をしてる。


イロアス「ピスティス頼んだぞ」


ピスティス「はい。イロアス様」


さて、初めてこの家の外へ行く。魔法学校は6年制。ここに戻ってくるのは6年先になるだろう。両親は…たぶん度々会いに来ると思う…。シュンフォニアとここは意外に近いし。


ピスティス「さぁ。エルピスお嬢様行きますよ」


エルピス「うん」


ピスティスとわたしは迎えに来た馬車に乗る。


エルピス「それでは。パパ。ママ。ありがとう。また」


ゴトゴト


馬車が動き出した。


エテレ「無理しないのよー」


イロアス「い゛ぐなよぉーー」


ゴトゴトガタ


エルピス(さようなら。しばらく…)


ポタ


エルピス(あれ!?)


ポタポタポタ


エルピス(おかしいな視界が歪んで…)


ピスティス「こういう時は泣くのですね。エルピスお嬢様」


エルピス(え?わたし泣いてるの?)


何気ない異世界での家族だったが、なんやかんやで思い入れがあった。

なんなら前世よりも…

涙が止まらない。わたしはピスティスに背中を擦られながら実家を後にした。


ガタガタガタ



せっかく異世界にきてやり直せたんだ。


やってやろうじゃないか。




つづく


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