エルフは観たいだけでなりたい訳じゃない!
ほしぼたる
転生したらエルフだった
第1話 転生したらエルフだった
俺は29歳男性
兎耳山 笑留人 (とみやま えると)
名前はよく書くのがめんどくさそうと言われるが、結構気に入っている。
理由は六文字漢字でカッコいいから。
確かにテストのときや、サイン、パソコンに入力するときなどめんどくさい点はあるが、なれたもんで全然気にならない。
そんな俺は今、72時間労働後の帰宅中だ。
今日も課長に怒られた。
でも、理不尽な事だった。
課長は仕事をすべて俺に押し付けてくるのだ。
そんな課長はしょっちゅう俺のところに来ると、「まだコレしかできていないのか!」
と叱ってくる。
言い返せない俺は気の弱い男だ…
これは小さい頃からずっとだ…
「ただいまー」
なんて、誰もいないけど。
29歳になって、同級生はどんどん結婚していく。
まぁ、俺を好きになってくれる人なんて誰ひとりいないだろうな。
だって
ガラッ
わたしはすっかり日焼けをした棚の扉を開けた。
俺にはエルフがいるもんな。
棚にびっしりと敷き詰められたエルフのフィギュア。部屋の一面にはエルフのタペストリーやポスター。
俺にはこれがあるからちっとも寂しくない。
3日ぶりの俺の嫁たち。
何日見ても飽きない。
これのおかげで親の縁や友達を無くしたなんてどうだって良い。
俺にはエルフだけで良いんだ。
ガタガタガタ
!?
地震か!?
ガタガタガタガタガタガタ
バタッ
ヤバい!俺のエルフコレクションが倒れる。
ドシャーン
「うわぁ!」
━━━━
━━━
━━
エルフのフィギュアに押し潰された笑留人は身動きがとれずにいた。
(ヤバい、過労で思うようにからだが動かせないっ)
もがこうとするが、どんどん埋もれていくばかりだ。
「たすけ…たす…」
プッ
過労の中で動こうとする笑留人は何かが切れるおとがした
━━━━━━━
━━━━━━
━━━━
━━
「こんにちわ」
目の前には全身白の服装を着た小さな女の子がいた。
「だれ…」
「始めまして。わたしはクリエル」
「と言われましても…」
「わたしは貴方の世界の神の弟子よ」
「何を言ってるんだ?」
「まぁ、そうなるわよね」
「てか、ここどこだよ?」
辺りを見渡すと、いろんな場所の映像?が写し出されている。
「世界の監視塔?みたいなところかな」
「俺はどうしてここに?」
「死んだからよ…」
普通の人は驚くところだが俺はすぐに理解できてしまった。
「ああ。やっぱりね」
「泣かないなんて珍しいわね」
「まぁ、思い残すことなんてないからな」
「そっ。」
クリエルは爪をいじりながら言った。
「急につめたいな…」
「わたしちょっと急いでるの」
「えぇ…」
「という訳で、軽く説明するわね」
クリエルはどこからともなく椅子を出すと座り、めんどくさそうに話し始めた。
「まず、あなたには別の世界に行ってもらうわ」
「お!マジで!」
「うるさい」
クリエルが俺に向かって指を指すと口が開かなくなった。
「んんっんん…」
「黙って聞いてなさい」
クリエルはまた爪をいじりながら続きを話す。
「実はさ、師匠の命令で、この世界の1人を異世界へ転生させて、しっかりと管理しろって言われてさぁ。まぁ、ちゃんと神をやっていけるかの試験なんだけどね。それで、その1人にあなたを選んだわけ」
「んん!んんんん!」
「え?なに?」
「んんん!んんんん!」
「まぁ、いいわ。んで、手伝ってくれる代わりになんだけど、あなたに転生する世界を選ばせてあげる」
「んんん!」
「さぁ、選ばせてあげよう」
クリエルは両手を広げると、頭上に沢山の惑星が出てきた。
「貴方の好きなのを選んで」
「んんんん!」
「え?」
「んんんんん!」
「もう!なによ!そんなに必死になって」
クリエルがもう一度俺に指を指すと口が開くようになった。
「エルフが居るところが良い」
「エルフ?」
クリエルは頭を傾げた。どうやらエルフを知らないらしい。
「エルフというのは、耳介が長くて」
「ああ。貴方の部屋にいっぱい転がってたやつね」
「見てたの!?」
「まぁね」
笑留人は顔を真っ赤にした。
そんな話をしていると奥から太い声がした。
「クリエルはやくしないか」
「わかったよ師匠」
どうやらあの声はクリエルの師匠らしい。
「じゃあ、そのエルフ?が居る世界で良いんだね」
「うんうん!」
笑留人は大きく頭をたてにふった。
「よし、じゃあこの世界かな」
クリエルは頭上にある惑星をひとつ取るとじっくりと見た。
「よし、エルフが居るね。じゃ、決定っと」
ポチ
「え?」
クリエルが惑星を突っつくと自分の体が光だした。
「じゃあねー」
「えっ、いきなり!?」
クリエルがだんだん見えなくなっていく。
「あっ。言い忘れてた。転生者は…」
「え?なんて?」
クリエルの言葉は途中で途切れ自分はどこかに引き込まれていった。
━━━━━
━━━━
━━
(うっ…うー)
(なんだ?動きにくいぞ)
「あーっ」
(!?これ?自分の声か?)
「あーあーっ」
(どうやら赤ちゃんらしいな)
(ちょっと動きはできるが、目は開くかな)
(まぶしっ)
目を開けると最初は強い光だったがだんだんなれてくると、木目調の天井らしきものがぼんやり見えた。
「agui iqa dita」
(??何語だ?)
「bji」
「mia miu lia dac」
(ああ、まぁ異世界だもんな)
「kida qiut」
誰かが覗きこんできた。
(!?おお!エルフじゃん!)
目の前には要望通りのエルフの女性が居た。
「mia lia」
女性の隣からまた誰かが覗きこんできた。
(おっ。男性のエルフだ)
「qiut」
(んっ。まてよ)
自分は嫌な予感がした。
(あまりうまく動けない状況そして、それを覗く男女のエルフ…これってまさか…)
「mia vitia」
(俺がエルフ!!??)
つづく
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