7話 コスプレはやってしまえば怖くない

 みやびたちの学校の文化祭に来て、ぐるっと見て回ってから、親友のクラスの出し物に着いた。

 おとぎ話の登場人物に扮していて、とても賑やかで楽しそうと思っていた。

 注文した塩むすびと梅干しが入ったおにぎりを食べると、塩加減が良くてあたたかいご飯の良さを引き立たせている。

 そして梅干しは種なしだから親切で、良い酸っぱさで美味しかった。

 お茶を飲んでひと息ついた頃に、挑夢のぞむ君がやって来た。

 すると、このクラスの生徒さんなのか、浦島太郎に扮する男子と、制服を普通に着ていたリーダー的な女子が来た。

 なんと、雅と雅虎君がいないから、人手不足とのこと。

 私はそれを聞いてウズウズしてきた。


 コスプレ…したい!初コスプレデビューしたい!


 私はリーダーの女子に歩みよりグイグイと「良ければお手伝い、したいです!」と言った。

 すると「ありがとうございます!是非お願いします!」と私の手を握って嬉しそうな顔になった女子。

 挑夢君は巻き込み事故で受付を任されることに。



「改めまして、宮司みやじさとです!よろしくね!」

平柳ひらやなぎつばめです!よろしく!」


 自己紹介はそこそこに、目の前にはコスプレ衣装がいくつかある。


「スラッとしていて身長高いから、綺麗に着こなせそうだね」

「いやいや~♪」


 中学でグンと伸びた身長。

 あの時はコンプレックスに感じていた。

 小さい女子が可愛く見えて羨ましくて。

 今は気にしていない。これが私よと自信を持っている。

 何かと高い所に手が届くから、買い物の時は苦労しないし。

 それにしても、どの衣装も魅力的で悩んでしまう。

 でもやはり定番にしてみようと思った。


「このメイドにしようかな」

「あっ、良いね良いね!」


 早速着替えて、ミラースタンドの前に立った。

 膝が見え隠れする丈のスカートはふんわりしていて、エプロンは後ろでリボン結びになるため可愛らしい。

 三つ編みをポニーテールにしてカチューシャを付けると、雰囲気が出てきた。


「良いかも」

「すごーい!誰も着たがらなかったから報われたー!可愛い!」


 里ちゃんが喜んでいる。嬉しい。


「ありがとう!これで決まりだね!」

「うん、良かったー!」


 更衣室から出て、早速お手伝いを開始した。

 笑顔で接客して、とても楽しい時間となった。

 真っ先に挑夢君に見せた時は「見違えた~、可愛い~♪」と言ってくれて、私は感無量に。

 人生初のコスプレは上々となった。

 この後、メイドのまま挑夢君と一緒に保健室に。

 雅の驚いた顔は忘れられない。

 びっくり作戦が成功して良かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る