第81話

 天井が白い…ここは、どこ?

 ん?お父さんと…お母さん…?

澪那みおな!」

「お母さん…」

 お母さんは私を強く抱き締めた。

「大丈夫?痛い所は?」

 切羽詰まって言われると、嫌だな。

「どこも痛くないよ」

 へへっ、と笑う。

 そうだ、佐藤さとう君の家で…。

 それで、誰かが、助けに来てくれたんだ…。

 誰だっけ…えっと…えっと…。

 うーん…思い出すと、頭が痛くなる。

 止めよう…。

 この後、主治医の先生が来て、両親にいろいろ話してから私に「明日退院して良いから、今日はここにいて休みなさい」と言われた。


「本当に居なくて大丈夫?」

「大丈夫」

「それじゃあ、明日迎えに来るからね」

「うん、ありがとう」

 両親は帰って行った。

 私はロッカーから鞄を出し、その中からスマホを取り出した。

 デイルームに行き、そこで電源を入れた。

 そして、まずは、絢子あやこちゃんに連絡した。

 すると秒で返ってきた。

『目が覚めたんだね!良かった(´;ω;`)』

 心配かけてしまったなぁ。

 私は『ごめんね』と送ってから、誰が助けに来てくれたのかを聞いた。


『覚えてないの!?』

『うん…思い出そうとすると頭痛くて』

『そうなんだ…

 誰が助けに来たかと言うと』

 車で待っていたのは絢子ちゃんと挑夢のぞむ先輩。

 佐藤君の家に突撃したのは、雅虎まさとら先輩とみなと君と聡希さとき君。

 教えてくれたおかげで、思い出した。

 そうだそうだ!

 助けに来てくれて、いろいろあって、安心したら私、寝ちゃったんだ。


『誰が私を運んでくれたの?』

 そうだ、寝ていた私を運んだのは誰だろう。

『それはね、聡希だよ!』

 聡希君…!?

『どう運んだと思う?w』

『普通におんぶでしょ?』

『チッチッチ』

 絢子ちゃんがカッコつけて、人差し指を左右に動かしているのが浮かんでくる。

『お姫様抱っこだよー(≧ω≦)』

 うぇぇっ!?て声は出せないから、とっさに口を手で押さえた。

 お、お、お、おおおおおお姫様抱っこ!?

 クラッとしてきた。

『消灯時間だから、また後でね』

『うん、早く元気になってね!じゃっ』


 聞くんじゃなかった。

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