第76話
「失礼しっ…」
昼休みにもう一度保健室に行くと、まだ
「お疲れ様です…」
「お疲れ」
元気がない。目なんか腫れている。
泣いたのか。
「
「良いんですか?」
「この子のケアが大事だから。明日、みっちり仕事して」
「そんなにないですよね」
「たんまりあるように準備しときます」
「はーい」
そんなに弓削さん、精神的にヤバいのか。
なら、俺はさっさと退散しないとな。
「それじゃ、戻ります」
「お疲れ様」
保健室を出た。
さて、ゆっくり教室に戻ろうか…ん?
超特急で…うわぁ…。
「
キキーッ、というブレーキの音が聞こえてきそうな感じで、絢子は止まり、今度は駆け足で来た。
「みおなん、保健室?」
「あぁ」
「ありがとう」
絢子は急いで行こうとするのを俺は「待て」と止めた。
「行っても、先生に追い返されるぞ」
「えっ?」
「俺は委員会で来ただけだが、追い返されたからさ」
すると、絢子は少し考えてから。
「それでも行く」
力強く言って、ノックをしてから保健室へ入って行った。
「お節介だからなぁ…」
誰かさんと
※
「絢子ちゃん…」
「みおなん…」
来てくれたんだ。
「ごめんね、黙ってここにいて」
「ううん、大丈夫だから」
優しいな、絢子ちゃんは。
「何があったの?」
「…」
私は黙る。
巻き込む可能性だってあるから。
「言えない」
正直に言った。
すると、絢子ちゃんは「そっか」と力なく言って俯いた。
ごめんね、本当にー…。
暫くしてから突然。
「みおなん!」
「わっ!」
びっくりした。
「ピンチの時はいつでも言って!助けに行くから!」
「ぁっ…ぅっ…」
また涙がー…。
「うん、ありがとう…」
「泣かないでよー!私も一緒に泣いちゃうぞー!」
とか言いながら、一緒に泣いてくれた。
※
「そうだったんだ…」
保健室にずっといたんだね…
「何も出来ないから、悔しい…」
私はシュンとなる。
「
「だって…」
可愛い後輩のために、助けたいよ。
「何かあれば、SOSくるだろ?」
「あっ、そっか!」
「待とう、な?」
「うん」
待つのも、優しさ、だよね。
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