第62話
先に帰ってきた私達1年生。
喫茶店で3人でゆっくりしていた。
「楽しかったねー海!」
「また行きたいな」
「だよねだよね!」
本当に海は楽しかった。
先輩達がいるなんて知らなかった。
最初は直ぐ帰ろうかと思った。
けど、
きっと私の為だったのかもしれない。
何にも、話さないから、心配してくれて…。
先輩達と一緒っていうのは、きっと過去のトラウマを消すための、和らげるためのリハビリ。
だから、言わなきゃ。
「ありがとう」
「「えっ」」
絢子ちゃんと瀬戸君の視線が私に向く。
「心配…してくれて…」
「みおなん…」
隣にいた絢子ちゃんは私の頭を撫でてきた。
「ごめんね?」
「なんで謝るの?」
「先輩達のこと黙ってたから」
なんだ、そんなことか。
「ううん、逆に良かったよ」
そう、私自身にとって、頭では分かっていても、身体が警告していたから。
それだけ、“先輩”という年上の人のことを、とても怖い人として染み付いていた。
今は違う。
一緒に過ごしていたことで、警告音は鳴らなくなった。
「本当に、ありがとう」
感謝しかない。
「うん!」
初めて、心が通った気がした。
「絢子ちゃん」
と彼女の顔を見て。
「何?」
「瀬戸君」
と彼の顔を見た。
「ん?」
ゆっくりと息を吸って、吐き出した。
「話すね…過去のこと…」
大丈夫、かな?
また深く息を吸った。
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