小話 その8
パラソルを返し終えてからのこと。
「良い雰囲気だな」
「そうね」
本当にまだ付き合っていないなんて、不思議なものだ。
「ねぇ?」
「何だよ?」
この人は鈍感だな。
はぁ…と溜め息を吐き。
「何でもない」
訝しげてる磯辺君。
言わなきゃダメかな?
全く…気付いてよね。
※
「みぃと雅虎君、上手くいってるかな?」
「あと1歩だもんね~」
「兄ちゃん達、付き合ってないんでしょ?」
幸虎君も知っているようだ。
「そうらしいね~」
「
「ならないね~こればっかりは」
私達がどれだけお膳立てしても、進まないものは進まない。
幸虎君にはまだ分からないだろう。
「早く付き合って、いつか結婚してほしいな」
ちょっと驚いた。
だから私は聞いてみた。
「雅のこと、好き?」
すると、満面の笑顔で。
「うん、好きだよ!早く姉ちゃんって呼びたい!」
この子は将来を見ているようだ。
「そっかそっかー!」
可愛いなぁ、本当に。
「ところでさ?」
幸虎君は私とのんちゃんを交互に見て。
「挑夢君とつばめちゃんは、好き同士なの?」
「「えっ」」
初めてのことだった。
「あー、えっとぉ…」
私はのんちゃんを見る。
するとのんちゃんはニコッと笑い。
「好きだよ」
「うぇっ!?」
変な声が出てしまった。
それは、どういう…。
「友達だからね~」
「なーんだ、そっちかー」
ガッカリする幸虎君を他所に、表情変えずにいるのんちゃん。
一方の私はドキッとしたのが、損だなと思った。
「あっ、
そう言って駆け出して行った幸虎君だった。
残された私とのんちゃん。
ちょっと気まずいかも。
「なんか、幸虎君、勘違いしていたね~」
あっけらかんと言うのんちゃん。
「そう、だね」
なんでかな?
ちょっとだけ寂しい気持ちになっている。
「早く僕達も行こ~」
「うん」
変だな私。
忘れよう。
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