第58話
「へぇ~、それは良いね~」
「夏を満喫するには良いな!」
「楽しみじゃん♪よし、新しいの買わなきゃだ♪」
『私も行きたーい!』
リモートで、久々のつばめさん。
お元気そうでなにより。
そんな中、たった1人だけ、お葬式のような雰囲気を醸し出す。
「
「あっ…ごめんごめん!」
どうした?
「嫌なら他の所にしても良いけど」
「ううん、大丈夫大丈夫!」
慌てる琴坂。
「無理に合わせなくても」
「そ、そ、そんなこと!」
おかしいな、なんかあるな。
「んじゃあ、
再度確認。
「あっ…」
自信なさげに俯くが、切り替えたのか顔をガバッと上げた。
「うん!良いよ!」
腹を括った、そんな感じがした。
本当に大丈夫か?
※
あー、どうしよう。
みんな楽しみにしているし、良いって言ったけど…。
「はぁ…」
溜め息しか出ない。
お手洗いの鏡の前。酷い顔。
「みーやび!」
「わっ!
「さっき元気なかったけど、どうしたの?」
言うべきか言わざるべきか…。
でも、バレるし…。
「あのー…」
「ん?」
里なら、大丈夫だよね。
「ここがー…さ…」
「えっ?」
私は里の手を掴み、その手をある部位に触れさせた。
「普通じゃない?」
「よく確認して」
里は意を決して触ると「あれ?」と言った。
「ごめん、カーディガンの上から良い?」
私は頷き、ブレザーのボタンを外した。
もう一度確認すると「うそ!」と驚かれた。
「えっ?どうして?」
「恥ずかしくて…」
「そっかぁ」
里は私の制服を整えて、ブレザーのボタンをかけてくれた。
「進学率が高くて、水泳の授業のない学校がここだったから」
「そういうことね」
ここだけしか、選択肢がなくて。
「なら、後でつばめも呼んで、3人で買い物しに行こう!」
「えっ?」
すると里は私の耳元で囁いた。
「自分に似合う可愛いのを選んで、
「ふぇぇ!?」
ビリビリと電気が走るような感覚が身体中を駆け巡った。
「可愛い
大丈夫かなー…不安。
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