第9話 強い差別と魔王討伐の決心

 昨日に続き、今日もまた第2領域にやってきていた。ゴブリン狩りのクエストは本当に親切だと思う。レベルも結構上がるし。


 そう、昨日王宮に帰ってから――英断という設定なので別に不敬罪とかにはならなかった――ステータスを確認してみたところ、レベルが50になっていた。


 ステータスもかなりのものになっていたが、聡明だとか魔力だとかの、魔術系ステータスの伸びが目に見えて下がっていた。代わりに、近接ステータスの伸びが凄まじく、職業(クラス)を選択する前の2倍程伸び方が増えていた。


 ライムのステータスも圧倒的に強化されており、やはり耐久の伸びがとんでもなかった。その数値、35000越え。一日で5000も上がったのだ、とんでもない。


 それと、ライムと言えば最近ライムが人化しない。一度強制的に人化させて聞いてみたところ、人化して頭を使うと疲れるとの返答が返ってきた。基本的に人化はしないようだ。人化しないと知能がないので、俺とアリアの会話を聞かれることがないのは少し嬉しい部分もある。正直、アリアと会話している時は結構イタイことを言っている自覚がある。


「アリア、暫く稼げたら田舎に家を買わないか? そこを本拠地に、ちょくちょくレベル上げをして、魔王を倒そうと思うんだが」

「いえ、それより早く魔王を倒せるように、そのお金で王家から武器防具を買った方がいいと思いますよ? 王家はかなりいい武器や防具を持っていますから」


 確かにアリアの言う事は正しい。早く魔王を倒して気楽になりたい。が、ゆっくりしながら魔王討伐を目指すのも正しいと思う。

 うーん、どうしようか。別にどちらでもいいが……功績を打ち立てて王家から報酬としてもらえるか聞いてみるか。もらえるのなら田舎に家を買い、強力な武器防具でレベリングをしようと思う。


「武器防具ならちょっと功績でも打ち立てて、王家からもらえるように交渉してみるよ」

「どちらももらえるに越したことはありませんよね」


 功績を打ち立てたいのならある程度以上の強さは必要だと思うので、今日中はレベリングに励むことにした。

 明日は家を買いに行こうか。


 翌日になった。今日は家を買いに行く予定だ。いつまでも王宮でお世話になるのは悪いし、政治の柵から抜け出したい。


 不動産屋に到着した。今日はライムがレベリングを担当し、俺とアリアで家を買いに来ている。ライムが任せろと言っていた。


 ライムはレベルがカンストしたので、『種族進化』という魔物特有の謎概念によりスライムからアークスライムに進化、ゴブリンは瞬殺できるようになったので任せている。

 種族進化するとステータスが圧倒的に高くなるらしい。


 人間がレベルカンストすると、一定の確率で転職が可能になり、ステータスはそのままに新たにレベル1からやり直せる。

 因みに、歴代最高のレベルは10回転職後7レベルらしい。カンストは100レベルなので実質的には1007レベルという訳だ。残念ながらその人は魔王と戦い、戻ってこなかったらしいが。


「広めがいいよな。庭とかついてるともっといい」

「修練場が欲しいです。後、部屋数が多い方がいいです」


 なんだよ修練場って。もしかして魔王倒してスローライフすることになっても鍛えるのか? まあ別に付き合ってもいいのだが、なんかムードがないな……。


 職員が提示してきた不動産は、神都の広場――広場なのに誰も近寄ってはいけない上、金銀財宝を大量に使ったよくわからない装飾が施してある所で、噴水や銅像ならぬ金像もある――を見渡す丘にある、小さな木の家の焼け跡や、アンデッドモンスターが出てくると噂される、所謂幽霊物件など、ふざけているのかと疑うものばかりだった。


「すみません真面目にやってください」

「あ、申し訳ございません。こちらは不良物件でした。アリア王女様がいらっしゃるのでこれでいいかと思っておりました」


 アリアの言葉に対し、アリアを煽るように喋る職員。俺は一瞬、腰にある聖剣に手を出しそうになったが堪え、アリアに向かって質問を投げかける。


「アリアっていつもこんな扱いをされているのか?」

「慣れてますから、大丈夫ですよ」


 アリアの言葉で激怒しそうになった俺だが、またもや堪えると、今度は職員に向かって質問を投げかける。


《スキル・精神鎮静を習得しました。スキル・精神鎮静 精神の安定化がしやすくなる》


「この店は、客に対してそんな態度をとるのか?」

「いえいえ、これはアリア王女だからこそ――」


 職員がそれ以降の言葉を続けることはなかった。俺が聖剣を抜き、一閃したからだ。王の時とは違い、何も纏っていない剣で生物を殺したことに、こいつは斬って当然という理性に反発した深い嫌悪感を覚えるが、それを堪える。


「えっと……勇さん、突然何を……」

「アリアは、こんな扱いされて、悲しくないのか? 悔しくないのか? 自分を愚弄する奴らの事、許せるのか?」

「悲しいし、悔しいし、許せないですけど……それがどうかしましたか?」

「変えないか? こんな扱いをできないようにしてやる。俺もこいつらを許さない」


 俺はアリアに問いかける。魔王を討伐した勇者の言う事なら、嫌々でも聞くのではないだろうか。アリアの為にも、やはり絶対に魔王を倒そうと、またもや誓ったのだった。


◇◆◇◆


名前:金堂 勇

性別:男性

年齢:16歳

職業:剣聖ソードマスター

種族:人間

Lv.50

筋力:6000 《+400身体強化》《+1000聖剣エクスカリバー》《+2000剣聖覚醒》

耐久:6000 《+400身体強化》《+2000剣聖覚醒》

速度:6000 《+400身体強化》《+2000剣聖覚醒》

器用:6000

聡明:4700

魔力:4700 《+1000聖剣エクスカリバー》《-2000剣聖覚醒》

スキル:千里眼Lv.8、解析Lv.6、気配隠蔽Lv.5、剣術Lv.50、自動回避Lv.42、痛覚耐性、攻撃予測Lv.50、剣筋補正Lv.50、打撃耐性、気配感知Lv.50、怪力Lv.14、触手、吸収、幻影Lv.8、隷属、威圧Lv.4、名づけ、身体強化Lv.50、剣聖覚醒、精神鎮静


◇◆◇◆


名前:ライム

性別:女性

年齢:264歳

職業:盾騎士

種族:アークスライム

Lv.1

筋力:10000 《+5000英雄の加護》

耐久:50000 《+5000英雄の加護》

速度:6000 《+5000英雄の加護》

器用:5

聡明:1000

魔力:10000 《+5000英雄の加護》

スキル:吸収Lv.1580、分裂Lv.1576、重量操作Lv.1561、変化Lv.1497、潜入Lv.1487、幻影Lv.1474、高速移動Lv.1461、身体強化Lv.1459、金剛Lv.1443、呼応Lv.1391、飛行Lv.1371、触手Lv.1266、純翼Lv.1111、加速Lv.1132、攻撃予測Lv.1001、自我分裂Lv.998、呪縛魔術Lv.965、呪術Lv.945、変形Lv.944、危機回避Lv.902、高速回避Lv.450、打撃無効、水属性攻撃無効、衝撃無効、精神攻撃無効、斬撃耐性Lv.1567、魔力攻撃耐性Lv.1440

称号:青の悪魔、魔物、上位存在(アーク)、勇者の従魔

加護:魔王の加護+勇者の加護=英雄の加護、スライムロードの加護


◇◆◇◆


名前:アリア=ステイシア=アラナンド

性別:女性

年齢:15歳

職業:剣聖ソードマスター

種族:半神族

Lv.63

筋力:7500 《+5000【神剣】》《+2000剣聖覚醒》

耐久:6000 《+5000【神鎧】》《+2000剣聖覚醒》

速度:6000 《+5000【神剣】》《+2000剣聖覚醒》

器用:6700

聡明:8000

魔力:2 《+1000【神剣】》《+1000【神鎧】》《-2000剣聖覚醒》

スキル:剣術Lv.84、身体強化Lv.90、痛覚耐性Lv.41、気配感知Lv.90、剣聖覚醒

称号:アラナンド神国王族、神族の末裔、勇者の仲間

加護:アラナンドの加護、勇者の加護


◇◆◇◆


スキル・剣聖覚醒 剣聖 ソードマスター専用スキル。任意で発動。自身のステータスに大幅補正。


スキル・解析による称号の分析 入手条件達成で自動的に入手。偉業などを表す。


スキル・解析による加護の分析 加護の授与が可能な人物に認められた際、自動的に入手。ステータス補正のある可能性大。ステータス補正がない場合、加護が合成されることでステータス補正を入手可能。

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