第7話 世界

 魔力がゴッソリ吸われたと言う事は、ライムの戦闘力が上がっていると言う事なのかと、俺は思っているのだが……気になるから見てみようか。従魔のステータスは自由にみる事が出来るらしいし、俺は千里眼を持っているから従魔じゃなくても確認できるので。


名前:ライム

性別:女性

年齢:264歳

職業:戦士

種族:スライム寄りの悪魔

Lv.1576

筋力:5000

耐久:30000

速度:5500

器用:5

聡明:500

魔力:1500

スキル:吸収Lv.1576、分裂Lv.1576、重量操作Lv.1561、変化Lv.1497、潜入Lv.1487、幻影Lv.1474、高速移動Lv.1461、身体強化Lv.1455、金剛Lv.1443、呼応Lv.1391、飛行Lv.1371、触手Lv.1266、純翼Lv.1111、加速Lv.1102、攻撃予測Lv.1001、自我分裂Lv.998、呪縛魔術Lv.965、呪術Lv.945、変形Lv.944危機回避Lv.902、高速回避Lv.450、打撃無効、水属性攻撃無効、衝撃無効、精神攻撃無効、斬撃耐性Lv.1560、魔力攻撃耐性Lv.1439

称号:青の悪魔、魔物、勇者の従魔

加護:魔王の加護、スライムロードの加護


 なんで性別が女性よりの無性から女性に変化しているんだ。なんで従魔のステータスが主人より高くなりかけているのだ。これ、もしかすると俺よりもステータスが高いのでは? 因みに、レベルのカンストは人間だと100だが、魔物だと10000らしい。

 この世界に於ける名づけってこんなとんでもないスキルだったのか。


 ライムと比較するとして、俺のステータスは今、どうなっているのか。これで本当にライムに負けていたら俺、泣くからな。多分だが。


名前:金堂 勇

性別:男性

年齢:16歳

職業:勇者

種族:人間

Lv.46

筋力:4600 《+400身体強化》《+1000聖剣エクスカリバー》

耐久:4600 《+400身体強化》

速度:4600 《+400身体強化》

器用:2500

聡明:2500

魔力:4600 《+1000聖剣エクスカリバー》

スキル:千里眼Lv.7、解析Lv.6、気配隠蔽Lv.5、剣術Lv.33、自動回避Lv.20、痛覚耐性、攻撃予測Lv.30、剣筋補正Lv.35、打撃耐性、気配感知Lv.46、怪力Lv.6、触手、吸収、幻影Lv.2、隷属、威圧Lv.2、名づけ、身体強化


 総合力では俺の方が上なのだろうが……俺ではライムに勝てる気がしない。攻撃が全部ライムの耐久力に弾かれてしまいそうだ。それにスキルレベルだってそれほどまで高くはない。まあ、勇者の持つスキルと一般人のスキルでは根本性能が違うのだが。一般人の身体強化がLv.1で400ステータス増加ならばゴブリンなど楽勝だろう。


 因みに、聖剣エクスカリバーによるステータス補正は、聖剣エクスカリバーの『武器核(ウェポンコア)』に、所有者となる者――この場合は俺――の血を垂らすだけで得られる。


「ライム、父と母が争ってたりはするのか? 悪魔と魔物だろ? 対立しているって聞いたんだが」

「まあそうじゃのう。父は母を連れて悪魔族領に行こうとしたのじゃが、母――スライムロードのイムロは強く反発してのう。仲違いしてしまったのじゃ。それから悪魔と魔物が対立するようになってしまってのう」


 え、悪魔と魔物の対立ってライムの両親が原因だったのか? 確か200年近く前から争いはあったと聞いていたのだが……。あ、そういえばライムって200歳以上だったわ。


 人族は、魔物に対抗するために悪魔と組んだりしていると聞いた。そのもっとも古い事例が記録に残っている所だと凡そ150年前だ。つまり、イムロさんが悪魔と戦い始めて、それからしばらくした頃に人間は悪魔と組んで魔物を倒そうとしたと、そう言う事か。


 それは兎も角、アリアが拗ねてしまうので話しかける。放置していると一人と一匹が両方とも拗ねてしまう……。


「アリア、追放されなくてよかったな」

「別に追放くらいならされても構わなかったですけど……処刑とか言ってる愚王から救ってくれたのは嬉しかったです」

「実の父を愚王って……そもそも今は王ですらないから。物言わぬ死体だろ」

「そうですね」


 なんと残酷な娘。処刑なんてしようとするからこうなるのだ。何故あそこまで娘を愛する気持ちが足りないのか。まだ子供などいない俺にでも、親心の多少は分かる。


 必要に迫られていたとして、果たして親が子供を殺す事は出来るのだろうか。王が特別クズだったとして、子供を殺せる親は、人間ではないだろう。そう、あの愚王は人間と呼んでいいはずが無い。あれは人間ではなく、ただのクズだ。


「アリア――悲しいか? 父親に愛して貰えなくて。友達も、そのせいで出来なくて」

「大丈夫です。私は戦闘も出来ないし、頭が飛びぬけていい訳でもないし、確かに他の人と比べると幸せじゃないかもしれないけれど、私は勇さんに出会えてよかったです」


 そういって、アリアは薄く微笑んだ。その笑顔は、美しく咲き誇る花のようだった。

 ――アリア。俺がお前を、幸せにしてやる。絶対に魔王を倒し、アリアを幸せにしよう――そう、俺は誓った。


「魔王なんてすぐに倒して、お前をここから攫って行ってやる。そうしたら、田舎の町で暮らそう」

「はい、お願いします」


『人間界には大まかに5つの国がある。


 凡そ30年前まで栄華を誇った、世界の南に位置し、6つの国を従える国『ヴィルラギア帝国』。


 今現在、人間界最大勢力であり、世界で最も北にあり、後述する2つの国を抱えている世界最大の信仰国『アラナンド神国』。


 アラナンド神国の東に属国として位置する、世界2番目の信仰国『第一聖国』。


 アラナンド神国の西に属国として位置する、世界3番目の信仰国『第二聖国』。


 ヴィルラギア帝国の東に位置して、独立王国として現在発展を遂げている世界最大の経済国、『エコノミラ商国』。


 今、ヴィルラギア帝国とエコノミラ商国の『南方連合』と、アラナンド神国率いる『アラナンド連盟』が全面対立している。第二聖国とエコノミラ商国の兵力の一部が小競り合いを繰り返している。


 そして、人間界以外の世界情勢を話すと、人間界最も北に位置するアラナンド神国の更に北に、魔王率いる魔族の国、『魔族王国』が存在するのだが、その魔族王国とエルフ率いる『精霊・亜人同盟』の国々が対立しているという。


 アラナンド神国による勇者召喚の究極的な目的は、魔王を倒した勇者をそのまま精霊・亜人同盟への攻めへ使おうとしているのだと読み取れる。精霊・亜人同盟を滅ぼすことで、国民の支持を一気に伸ばすつもりだろう』

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