第6話
この世界は世界観的に中世のヨーロッパといったあたりかしら。魔法が使える分、魔法に依存してしまって産業革命は当分先になりそうな感じなのよね。
あと、この世界は料理も微妙なんだよね。見栄えはいいんだけど、味がイマイチ。砂糖や香辛料は高いけど普及はしてる。お菓子もマフィンやクッキー等の日持ちする菓子はあるけど、ゼリーやアイスといった物はあまり無いみたい。
冷凍庫は無くとも冷蔵機能が長く続く冷蔵庫は欲しいね。是非我が領地は潤ってて欲しいのよ。
私の堕落した生活の為の労働と思えば頑張れる。だとすると、早めに家族には自分の事言っておかないとね。
小屋を強請ってから数日でお庭の一角に可愛らしい私専用の物置小屋が建てられました。小屋の中で色々と研究してみたいんだよね。
中は私の希望により椅子と机が備えつけられ、小さな小窓からは庭が見れる仕様。水道は無いけど、小さなシンクも作って貰いました。
もう少ししたら魔術で水を出して物も洗える。この可愛さと機能性。ずっとここに入り浸っちゃうよ。
「アイラがここに入り浸っちゃいそうだから僕も机をここに置いてもらうかな」
え。いつのまにきたよ兄。ここは私のサンクチュアリの予定。
「お兄様の机は入れませんよ」
何やら兄が良からぬ事を考えてる顔に。無視だ無視。
待っていました父と領地視察。大きなカバンを抱えて馬車に乗り込む。揺れる馬車の中で父に相談。
今1番に気になっているのは馬車は揺れが酷いという事。やっぱりタイヤやサスペンションが無いからなんだろうね。サスペンションは簡単な仕様書かいてセバスチャン辺りに丸投げだけど。
「お父様、お願いがあるのですが。色々な木から樹液を採取したいのです」
「樹液かい?いいよ。樹液採取なんて珍しいね。どうしたんだい?」
「木を探しているのですが、その木を探す為に樹液を確認したいのです」
「分かった。見つかると良いね。たまに停まっては木を探してみようね」
うひひ。これでゴムの木が見つかったら儲け物よ。
「でもアイラはどこからその知識を持ってくるんだい。座学では植物について教えて貰ってないだろう」
そろそろ話す頃合いだよね。
「お父様。それについてなのですが、お家に帰ったら詳しく話したいのです」
「アイラ。分かった。後で詳しく聞かせてもらうからね」
「はい。お父様」
そう言って会話は終わり。私は途中途中で馬車を停止させて樹液採取用の瓶を木に結びながら街へ到着した。
街では町長さん達が出迎えて案内してくれた。やはり、街の様子からみても中世の感じがする。トイレやお風呂などの衛生面の改善あり。食事については硬いパンをスープと食べている。
識字率については言わずもがな。低いねやっぱり。物流についても馬車を利用するけど、道は主要な場所以外は舗装されて無い。治水とかどうなんだろう?まだ今回の視察では分からないや。
とりあえず、気になった箇所はメモを取る。絶対父や町長さん達は私がメモ帳に落書きしてると思ってるよね。一日視察をして帰途につくと、私は早速今日の問題点を洗い出し、提案書としてまとめていく。
書いてて気づいたんだけど、5歳の指先はまだ不器用なんだよね。そして羽ペンは細くて使いにくい。これも改善が必要だよね。鉛筆も欲しい。
思うように書けず、イライラして何度も書き直すはめになったわ。こればかりはしょうがないんだけどね。まとめている間にリリーから夕飯の声がかかり、手を止めて食堂へと向かった。
家族みんなでの食事はやっぱりいいね。
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