第3話 初めまして③
昼食休みが終わると、どっと疲れが
襲ってきた。もともと体力もある訳では
無かったし、一限目あたりに走ったのに加え先程の子達と一緒に居たから気持ちも疲れてしまったのだろう。
今は、食後休憩の五分休み。
彼女達は、
「ねぇ、イトシラサン。
うちらトイレ行くけど、行く〜?」
と、何故か私を御手洗いに誘ってきたが、
一緒に行く必要性を感じ無かったので、
「いや、大丈夫。
それに一緒に行ってもあまり
意味はないと思うし、
他の人とも話してみたいから。」
と言って、断らせてもらった。
心なしか、睨まれた様な気がする。
もしかすると私の思う友達と、彼女達の思う友達は違うのかもしれない。
そんな事を思っていると、後ろから
声をかけられた。
「石徹白さん大丈夫?」
声をかけてくれた女の子は、長いとも短いとも言えない絶妙な長さの少し明るい髪を下ろしている女の子だった。
彼女が言うには、先程の咲達は所謂
いじめっ子集団で、目を付けられない様にするため、関わらない方がいいと言う。
学校には派閥の様なものがあり、その中でも微妙なパワーバランスみたいなのが
あると言う。これが所謂スクールカースト
などと言うものなのだろうか...?
彼女は、その派閥の中でも強い?派閥の
中心人物らしい。この派閥は他より
少し特殊で、男子と女子どちらも所属している派閥だそう...。この派閥は、中心人物が
二人いて、二人は幼馴染らしい。
その内二人の内の一人が彼女らしく、彼女の名前は、北島 甕津(きたじま みかつ)
そして、もう一人の名前が、
千家 穂日(せんけ ほひ)と言うらしい。
名前だけの軽い自己紹介を終えたら、
一人の男の子が、「みかー!話終わった?」
と、言いながら走って甕津さんに
抱きついてきた。会話を聞いていると、
彼がその千家さんらしい。周りのみんなも温かい目でみてるし、私はお邪魔者かも知れないので、早々に会話を終わらせて、他の子と話すことにした。
「北島さん、あの...お友達に
なってくれませんか?」
「わー!石徹白さんだよね!
みかの友達になってくれるの?
いいじゃん!つーか、ありがとう!
みかってさ、仲良くなったら話しやすいん
だけどさ、なんか「さん」呼びの時とか、
最初の方は話しづらいんだよね〜。」
「悪かったわね、話しづらくて。」
「わー、わー!みか!?顔怖いって!
ごめん、ごめん!」
「はぁ、見苦しい所見せてごめんね。
うん、こちらこそよろしく!
えっと、紹介まだだったよね、
この、ちょー馴れ馴れしいこいつが、千家。
私の幼馴染だから、なんか嫌なこと
されたら言ってちょうだい。
私が、懲らしめるから。」
なんだろう、漫画の効果音のゴゴゴッと言う音が聞こえてきそうなくらいの迫力を感じる
特に「懲らしめる」の部分...。
「あっ、それと私のことは甕津でも、
みかとかでもなんでもいいから、
下の名前で呼んでほしいな。
無理にとは、言わないけど...、その...私が
慣れなくて...。」
「分かりました!甕津さん!
宜しくお願いします!」
「うん!よろしく!あと、こいつは穂日って
名前覚えにくかったら、アホでいいから。
そう大して変わらないし、なんなら
間違ってないから。」
「え〜、みか酷いよ〜!先までの照れたり、
嬉しそのな顔をした可愛いみかは
何処に行っちゃたの?」
「え〜、穂日〜、私の拳が
そんなに恋しいの〜?良いわよ!
歯が一本くらい折れても〜、
気にしないでね♪」
「ごめんなさい...。ギャー!」
仲がいい事と、私がお邪魔であるという事
だけは分かった。
「あの!他の子とも話してみたいんだけど、
その...、話しかけるの苦手で...。
手伝って貰っても良いかな?」
我ながらとても厚かましいけど、
その時は本当に右も左も分からなくて、
どうしたら良いか困っていた為、
そうするしかなかった。
それにも関わらず、みかは嫌な顔一つせずに
満遍の笑みで、快く了承してくれた。
「いいよ!それにみんな
石徹白さんと話したくて、
ずっとウズウズしてたんだよ!」
なんて、フォローまで入れてくれる程優しい。
美咲達が御手洗いから戻ってくる頃には、
私はもう、みか達と世間話が
出来るくらいには馴染んでいた。
相当睨まれたが、この際しょうがない事と
割り切り、気にしない様にした。
(もうそろそろ昼休みと言うものが
終わるらしい。朝のごとくみんなが急に
慌ただしく次の授業の準備をしだした。
そういえば、一時間目の時に助けてくれた
彼は見かけなかったな。
ツモリくんはどこのクラスなのだろう。
と言うか、ツモリくんって呼んでいいの?
心の中だけにしよう。
何をしてるのかな?
まぁ、気にしても仕方無いけど...。
次に会えるのはいつだろうか、その時まで
生きているかは分からないが、
ささやかな楽しみが出来た。)
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