第7話 吐露

第7話


近くに在った公園に立ち寄ると、そこに在るベンチに二人で座る。


「ふぅ、別に良いぞ。」

「…何をか……何をだい?」

「お前、キャラが作れない程に弱ってるだろ?それに、此処にはお前と俺しか居ない。同類しか居ないんだ。だから、溜まってる物をいっぱい吐き出せ。」


そう言いながら、俺は香織の頭を撫でる。


すると、彼女は涙を浮かべながら…


「本当にお見通しだね。流石、竜馬くん。ズル過ぎて、嫌になりそう…」

「…そうだな。俺も弱くなると素を見せるお前のギャップ萌えがズル過ぎて、嫌になりそうだ。」


そうやって、軽口を言い合う。


まだまだ素だが、これを言えるのなら、もう少し吐き出させれば大丈夫か?


「はぁ、辛いよ竜馬くん。まさか、実の妹まで地雷原だったなんて…」

「現実なんてそんな物だろ。癒やされてない身からすれば、どんな物でも地雷になりうる。」

「そうね、うっかり忘れてたわ…」


全く、本当に嫌になる。


予想だにしない物が爆発するんだから、たまった物じゃない。


「何でこうなるのかな…」

「そうだな…」

「私だって頑張ったのに、私の方が先に好きだったのに、どうしてこうなるのかな…」

「俺も知りたい…」

「信じたいのに、もう誰も信じられない!」

「解るよ、俺もそうだから。」


だからこそ、俺達は同類なのだろう。


振られた事自体は別に良いのだ。


その後が問題だった。


だからこそ、拗らせた。


「はぁ、ままならないな。」

「…そうだね。」


あの出来事を乗り越えない限り、ずっと俺達は悪夢に囚われたままなのだろう。


早く脱出する為にも、俺達は頑張らなければいけないのだ。


「…落ち着いたか?」

「ごめん、もっと吐き出させて。」

「…了解。」


その後、香織から延々と吐き出される言葉を聞き続けた。


そして、もうすっかり真っ暗になった頃…


「ありがとう、落ち着いたよ。だから、もう撫でるのはやめていいよ、同類。」

「そうか、なら良かった。しかし、お前の髪サラサラだな。めっちゃ撫で心地が良かったわ。」

「なっ……それはどうも。」


と、顔を真っ赤にする香織。


急にどうしたんだ、コイツ?


もしかして、泣き姿を見られて照れてるのか?


コイツ、以外と可愛い奴だな…


「…おっほん、そろそろ帰ろうか。」

「そうだな、もう夜だ。」


春の季節だが、まだまだ夜になるのが早い。


だから、今は6時位だろうか?


まぁ、良い時間だ。


「じゃあね、同類。私は家が近いから一人で帰るよ。」


と、香織が名残惜しそうに立ち上がる。


そんな彼女に俺は…


Aルート

送っていく


Bルート

言う通りにする


続く


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る