第287話

287決着


 今川義元


 パァンと信長の打った鉄砲の音がどこまでも広がる様だった。周りは怒号が飛び交い雨の中だったこともあって誰も鉄砲なんて使ってない中信長の鉄砲の音が更に際立った。


 義元の周りの兵が守ろうと必死に駆け寄るが信長の弾は義元の右腕を貫き、義元は刀を落としてしまったのが目に見えた。そこで対峙していた柴田と森が隙を見逃すはずもなく周りの兵を斬り殺す。


 その中を抜けて毛利新介が手に持った刀を義元の腹をを一突きにした。義元は毛利新介を蹴飛ばすと同時に周りに将兵が戻ってきた。


 「ふむ、ここまでか。お主らワシが腹を切るまで死ぬなよ。ワシの首を奴らに与えるでないぞ。」


 ワシの人生はここまでになってしまったか。雪斎になんと叱られてしまうかな。それとも良くやったと褒めてくれるのだろうか。ただ気掛かりがあるとすれば息子と今川の行末だな。


 「遺言だ。俺の刀や宝を全て献上しても良い、北条を頼れ。臣従しても構わん。武田にだけは気をつけるのだ。あとは任せたぞと。」


 信長達の方を霞んだ目でしっかりと見つめるとフッと笑い、上の鎧と刀を外させると自らその刀を使って自ら腹を切った。


〜〜〜


 織田信長


 義元が腹を切って今川方が首を抱えて逃げているのを聞くとすぐに追いかけさせようとしたが、自軍の被害を抑える方が先だと結論付けて敵の残った兵の残党狩りを優先させた。


 残ったのは義元の白傘や鎧などの重い物ばかりで刀や首は持って逃げられた様だ。一応100ほど捜索に向かわせているが望みは薄いだろう。


 「まずは信勝達の救援へと向かう!馬引けい!」


 信長は用意された馬に乗る前に義元の身体を見ると手を合わせて頭を下げる。敵ながら義元は尊敬できる男だった。強かった。


 「今川殿の身体や道具は丁重に扱え!いいな!いくぞ!」


 信長は後を任せると2000程の兵で残った1万ほどの正面兵力の後方を荒らしに荒らしまくった。義元を討ち取ったという言葉に今川方の士気は激減、織田方の士気は最高潮になりこの戦の趨勢は決したのであった。


〜〜〜


 風魔小太郎


 「ご同行願えますな?」


 「拙僧に何用があるか分かりませぬが、これも仏の思し召しでしょう。参りましょうぞ。」


 大樹寺の住職を丁重に預かり小太郎は主人からの命を果たした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

北条氏政転生 関八州どころか東日本は全部俺の物 西は信長に任せて俺は歴史知識を利用して天下統一を手助けします。 ヒバリ @mokaryo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ